日本食、米国に再び照準=コロナ緩和、レストラン2万店

時事通信社
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米カリフォルニア州にある「吉野家」の店舗
〔写真説明〕米カリフォルニア州にある「吉野家」の店舗(吉野家ホールディングス提供・時事)

 【シカゴ時事】日本の外食・食品業界が、米国に再び照準を合わせている。新型コロナウイルスの影響が和らぎ、新規出店や商談が活発化。日本食を提供するレストランは2万店を超えた。各社とも日本の味が定着する米国を有望市場と位置付け、収益拡大を図っている。

 吉野家ホールディングスは今年、米国で2店の新規出店と15店の改装を予定する。インフレで原材料価格や人件費は高騰しているが、「米国は価格転嫁しやすい」と広報担当者。回転ずし「くら寿司」も昨年11月からの1年間で9~11店の新規出店を計画、海外戦略を強化している。

 食品メーカーでは、味の素はギョーザなどの冷凍食品が北米で好調。東洋水産も即席麺が伸びている。キッコーマンは昨年度、北米事業の売り上げ収益が前年度比3割増となった。コロナ禍で在宅での食事習慣が浸透したことや物価高による節約志向の高まりが背景にある。

 シカゴ近郊の大型スーパー「ウッドマンズ」には6日、日系メーカーの即席麺やしょうゆが大量に並べられていた。

 昨年9月、日本食材の見本市「JAPANESE FOOD EXPO」が2年ぶりにロサンゼルスで開かれた。主催する日本食文化振興協会(カリフォルニア州)の蒲原孝郎日本代表は「バイヤーも新しいトレンドを見つけようと活発に動いている。駅弁や日本茶などに期待できる」と話す。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、米国本土初の日本食店は、1880年代に「チャールズ・カメ」こと茂田浜之助氏がロサンゼルスで開いた「カメ・レストラン」とされる。健康ブームも追い風に、全米で日本食店は1992年に3000店強、昨年12月には2万3064店に達した。

 「日本食は米国の食文化の一部になった」と蒲原氏は指摘する。政府が日本食品や農林水産物の海外輸出を2030年に5兆円に拡大する方針を掲げる中、同氏は「今後は中小企業の進出が日本食の地位向上につながる」として、官民連携による支援の重要性を訴えている。

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