メアドなしから日本有数のDX企業へ グッデイ柳瀬隆志社長が実践するDX成功のための方法とは
福岡県を地盤にホームセンター(HC)を展開するグッデイ(柳瀬隆志社長)とその親会社である嘉穂無線ホールディングス(同、以下嘉穂無線HD)。同社は国内有数の“DX(デジタル・トランスフォーメーション)小売業”として知られる。大企業ではなく、地方のHC企業がなぜ、DXを成し遂げることができたのか? その理由と同社の取り組みを解説するとともに、小売業がDXを成功するためにはどうすべきかをまとめた。
メールアドレスもなかった
グッデイは、嘉穂無線HDのHC事業会社として、社名と同じ「グッデイ」という屋号のHCを九州に63店舗(2023年1月時点)展開する中堅HC企業だ。
いまでこそDX企業として知られるグッデイだが、三井物産を辞して、父親が経営していた嘉穂無線HDに柳瀬社長が08年に入社した際は、社内で誰一人メールアドレスを持っていなかったほどのデジタル後進企業だった。リテラシーの低い社内において、情報システム部は不可侵の存在となっており、インターネットやクラウドなどの新しい技術を取り入れることもなく、柳瀬社長も古いシステムを使い続けるしかなかったという。
小売業の本丸ともいえる業務システムは老朽化されたオンプレミスのもので、POSによる販売データは毎日営業終了後に各店舗のデータを本部が吸い上げるかたちだった。店舗に1台しかないPC端末で発注や在庫状況の把握、販促物の印刷、本部からの指示書の確認などをしていたため、各担当者が端末に列をなしていたという。お客から商品の在庫状況を聞かれたときも、都度バックルームに戻って端末を操作する必要があった。
店舗の販売データ、会計、人事といった各種データもすべてバラバラに管理されていた。そのため、店舗側から「こういうデータが欲しい」というオーダーが来るたび、逐一システム部が各種データをエクセル形式で吐き出して、分析していた。逐次作業に忙殺されていたのである。
分析に必要なデータが揃わないし、必要なデータが必要なときに得られない、だから合理的な手を打ちにくい、そんなジレンマをかつてのグッデイは抱えていた。
システムとデータを切り離す
この状況を柳瀬社長は打破したいと考えた。おりしもクラウドを少しずつ使い始めたころで、IT活用こそが自社飛躍の起爆剤になるのではと考えるに至った。
そこで、時間のかかるシステム刷新はいったん据え置き、「自分たちで分析できる環境をつくる」にはどうすればよいかを考えた。出した結論が、販売データ、会計などの各種データを1つのデータサーバーに取り込むというものだ。
最初は
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