食用油市場、22年度は価格改定が進み、過去最大の市場規模を更新
食用油がポジティブに受け止められるようになったことに加え、家庭内調理機会の増加で食用油市場は堅調な拡大が続いている。22年は価格改定により平均単価がアップし、金額ベースでは過去最大の市場規模を更新した。継続的な市場拡大に向け、需要を高める取り組みが求められている。
キャノーラ油は微減、こめ油は好調をキープ
2022年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比10.4%増、物量ベースで同3.7%減となった。大豆や菜種、パーム油などの原料の高騰に加え、ユーティリティコストの上昇などで、21年に続き、22年も価格改定が続いた。その影響で金額ベースでは過去最高の市場規模となったが、数量ベースでは前年割れとなった。キャノーラ油などの汎用油の平均単価は、19年と比較して1㎏あたり150円近くの値上げとなった。
カテゴリー別にみると、キャノーラ油は金額ベースで同9.2%減、物量ベースで同35%減と、金額・物量ともに前年割れとなった。
汎用油のなかで需要を伸ばしているのが低吸油。日清オイリオグループの「日清ヘルシーオフ」が中心で、揚げものの吸油量を減らせるクッキングオイルだ。金額ベースで同380.2%増、物量ベースで同275.6%増、キャノーラ油の半分ほどの市場規模にまで拡大している。
ここ数年、市場拡大が続いているのがこめ油。金額ベースで同28.1%増、物量ベースで同23.9%増と金額・物量ともに前年を上回った。健康イメージや原料のわかりやすさ、クッキングオイルとしての使いやすさなどが浸透し、市場を拡大している。キャノーラ油との価格差が縮まったことでより買いやすくなり、キャノーラ油からのシフトが進んでいることが予想される。
オリーブオイルは金額ベースで同0.1%減、物量ベースで同7.1%減。健康性やおいしさに加え、汎用性の高さから支持されているが、購入世帯数はほとんど広がっていないことから、間口拡大が課題だ。
ごま油は金額ベースで同2.2%減、物量ベースで同2.9%減。おいしさに加え、健康面でも支持されているごま油は、コロナ特需の反動はあるものの、19年比では20%近く拡大していることから、堅調な推移といえそうだ。
オリーブオイル、ごま油、こめ油、グレープシードオイル、MCTオイルなど、汎用油以外の食用油も同様の理由で大幅にコストが上昇しており、23年にかけて価格改定が相次いでいる。今後の需要喚起の取り組みがさらに重要となりそうだ。