JACDS池野隆光会長　ドラッグストアの調剤売上1兆円突破で、次に行うべきこととは

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毎年恒例の一般社団法人・日本チェーンドラッグストア協会（東京都：以下、JACDS）と薬業3団体による年頭所感発表が2022年12月9日、東京都千代田区の「アルカディア市ヶ谷」で行われた。各団体代表者と日本ヘルスケア協会（東京都：JAHI）の年頭所感をお送りする。前編はJACDSの池野隆光会長、根津孝一副会長、江黒純一副会長の年頭所感だ。

JACDS池野隆光会長
「薬剤師によるワクチン接種が実現される時代がいずれ来る」

　JACDS池野会長　22年は、コロナで始まり、コロナで終わり、またウクライナで始まり、ウクライナで終わるというように、課題の解決にまで至らず、年の初めと同じようなかたちで、年末を迎え、新年を迎えることになった。

　ドラッグストア（DgS）に関しては、抗原検査キットのスイッチOTC（一般用医薬品）化が実現し、新型コロナウイルス対応の検査キットが第1類医薬品として、薬局や調剤併設DgSで販売できるようになった。医療体制のひっ迫もあり、薬剤師によるワクチン接種も検討された。時間はかかるかもしれないが、いずれ実現される時代が来るだろう。

　21年度はDgSの調剤売上高が1兆円を超えてきた。そうしたなか、DgSの薬剤師の質の問題が問われ始めている。医師の処方箋をもとに、薬を処方することが中心だった薬剤師の役割にも、少しずつ変化が求められている。こうした変化に対して、JACDSではエリアごとに、地域を支える薬剤師をどう育てていくか、そういう考えのもと取り組んでいきたい。

　少子高齢化、人口減少が進む日本では、22年に生まれた人が成人する40年には、学校に通う年齢層が激減し、一方で高齢者が増えていく。医療を担う医師も不足する。そうした環境に向かっていくなかでは、医療の一端にかかわる者として、薬剤師に、より高度なものが求められるようになるだろう。すぐにワクチン注射を打つようになるかどうかはともかく、薬剤師としての資質を高め、調剤業務以外へチャレンジする一歩を踏み出していけるようになればいつそうなっても対応できる。23年はそのスタートの年になればと考えている。

DgSもリサイクル問題に仕掛けを

　池野会長　JACDSでも、「食と健康」機能を高める活動として、「食と健康アドバイザー制度」の構築をめざし、健活ステーション推進委員会が取り組みを進めている。

　しかしながら、店舗によっては、管理栄養士がいるところもあるものの、「当店には管理栄養士がいます」ということを知らせる表示もなければ、「管理栄養士が〇時から〇時まで常駐しています。いつでも栄養相談をどうぞ」といったメッセージを出しているDgSはほとんどない。そんな状態では、たとえ今優秀な管理栄養士を確保できていたとしても、この先、彼ら、彼女らの仕事場としてDgSが選ばれなくなってしまうのではないか、という危惧を抱いている。

　DgSとして食品をたくさん扱うようになってきた。環境問題は食品ロスへの対応を含め、DgSの問題としても年々大きくなっている。JACDSとしても、環境に配慮した社会をどのように提案していくか、引き続き検討していかなければならない。

　シャンプーは、そのほとんどをDgSが販売している。にもかかわらず、容器の回収、リサイクルの問題は、現状は何もなされていない状況にある。今後、この状況をどう変えていくことができるのか。たとえば、容器を紙製に変更するといった取り組みが可能か、といった何かをやっていかなければ、現在の状況は変わらない。何かをやっていくことによって事態は開ける。そのためには、DgSから仕掛けていく必要があると考えている。

健康生活の拠点となる機能は何か

　池野会長　JACDSでは、22年10月、過疎化や高齢化が進んだ地域においても、その健康生活の拠点となるべく機能をDgSが装備していく「健活ステーション」推進計画を発表した。しかしDgSが地域の高齢者に受診勧奨できるようになったとしても、たとえば血圧が高いのか、低いのか、医療機関に行って初めてわかるというのではよろしくない。事前にどういう状態なのかがわかっているという体制が必要だ。

　そしてそれらの結果がデジタルで行き来し、治療効果を高めるようにならなければ、医療従事者の減少をカバーすることにはならない。そのためには、高度な検査に至る手前の検査体制を薬局、薬剤師が担い、受診勧奨し、遠隔診療が支え、処方薬をデリバリーで届ける。可能ならばドローンが運んでいくこともある。そういう体制づくりを、JACDSとして積極的に研究していく必要があると考えている。

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