小売、卸、メーカーの垣根を越えた“オールジャパン”でアマゾンに対抗 リテールAI研究会
リアル店舗でどのようにAIを活用できるかを研究するリテールAI研究会(東京都/田中雄策代表理事)。2017年5月に発足した同研究会には、現在、小売、卸、メーカーなど、業種の垣根を越えた企業が約150社加盟する。棚割り、品揃えなどの実験ではすでにいくつか成果も上がっているという。
最大の特徴はオープンイノベーション
リテールAI研究会はAIカメラやセンサーを駆使した無人店舗「Amazon Go」(アマゾンゴー)の構想が発表されたり、米グーグル(Google)子会社ディープマインド(Deep Mind)のAI「アルファ碁」(Alpha Go)がプロ棋士を打ち破るなど、“AIブーム”を背景に、2017年5月に発足した。
小売、卸、メーカーなど、業種の垣根を越えた企業が参加する独立した研究会で、AIをリアル店舗でどう活用するかについてさまざまな実験、勉強会を行っている。会員企業は、研究データを共有するだけでなく、店頭実験やAI活用のための勉強会などに参加することができる。現在、約150社が参加しており、うち、店頭実験まで参加できる正会員企業は約50社ある。
「これまでもこういう研究会の構想は何度もあったが、盛り上がらないまま立ち消えていった。今は米アマゾン(Amazon. com)や中国アリババ(阿里巴巴集団)などEC企業が躍進を続けるなか、小売業は変革の必要に迫られるようになった。メーカー、卸も巻き込み、“オールジャパン”でリアル店舗を盛り上げていく必要がある」と田中雄策代表理事は研究会設立の経緯を振り返る。
最大の特徴は、実験で得た結果やノウハウを参加者全員で共有する「オープンイノベーション」にある。メーカーや卸など、ふだんは同業他社としてシェア獲得を巡り、しのぎを削り合っている企業どうしが同研究会では手を取り合い、互いに得た知見を共有しているのだ。
実際、店頭売場を活用した実験は、日雑分科会と食品分科会に分かれて、それぞれで複数の企業が共同で実験を行う。実験売場は現在、小売業の会員企業であるトライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長)の一部店舗の売場を活用しているが、実験売場を提供してくれるほかの小売企業の参加も募集している。