伊藤忠のデサントへの敵対的TOB成立、経営改革迫る
[東京 15日 ロイター] – 伊藤忠商事は15日、デサントに対する敵対的TOB(株式公開買い付け)の応募が約1511万株となり、買付予定上限の721万株を超えたと発表した。伊藤忠の持ち株比率は約30%から40%に上昇、重要な決議事項に対する「拒否権」を手中に収めた。伊藤忠はデサントの経営体制を問題視しており、デサントは今後、経営陣の刷新を含めた厳しい判断を迫られそうだ。
伊藤忠はデサントに対して、経営体制の見直しとコーポレート・ガバナンスの再構築を要求。具体的には取締役会の構成の変更などを求めたが、両社の主張は平行線をたどった。伊藤忠とデサントはTOB公表以降、4回にわたり経営体制について協議したが、伊藤忠のデサントに対する不信感はぬぐえず、2月22日をもって協議は打ち切られた。
伊藤忠は今後、臨時株主総会の召集請求も視野に入れる。
伊藤忠の鉢村剛・最高財務責任者(CFO)は2月5日の決算会見で、デサントについて、1)中期経営計画で2019年3月期に100億円の最終利益目標を掲げているにもかかわらず、今期予想(19年3月期)が65億円になっていることについての説明がない、2)取締役の在任期間が長く、活性化の面で疑問がある、3)筆頭株主である伊藤忠が知らないところでワコールホールディングス<3591.T>との提携が公表されたり、トップ間の会話の内容が漏洩したり、ガバナンスが欠如している──などと批判していた。
(志田義寧)