25年度に営業利益2.3倍めざす!イオンモールの挑戦的な成長戦略とは
イオンモール(千葉県/岩村康次社長)が4月7日に発表した2022年2月期連結決算は、営業収益が3168億円(対前前期112.9%/前期から361億円増)、営業利益が382億円(同111.1%/同38億円増)、当期純利益が192億円(同211億円増、前期は18億円の最終赤字)と増収増益だった。
変異株拡大の影響が業績を直撃
2022年2月期決算で増収増益を果たしたイオンモールだが、計画は大きく下回った。従来(3月11日の見通し引き下げ以前)は過去最高の2020年2月期に迫る業績見通し(営業収益3440億円、営業利益505億円・、当期純利益310億円)を立てていたが、いずれも未達に終わった。
国内ではデルタ、オミクロンといった変異株が次々と現れ、集客伸び悩みにつながった。海外においても、中国が比較的堅調に推移したものの、東南アジアはやはり新型コロナの影響を色濃く引きずった。結果として、当初目標としていたV字回復・過去最高業績更新を果たすことはできなかった。イオンモールも多くの小売業と同様に、コロナ禍からの本格的な回復はまだ先のようだ。
営業収益の概況を見ていくと、全体の約8割を占める国内事業は、前期から241億円増/対前期比10.2%増の2612億円だった。海外は、中国が同117億円増/同37.6%増と大きな伸長を見せた一方で、東南アジアは同2億円増/同1.8%増の伸びにとどまった。
コロナ禍の影響を受けていない2020年2月期との比較では、国内事業が新規モールの増収効果で114億円を積み上げるものの、既存店が249億円落ち込みトータルで137億円のマイナスに終わった。
既存83モール専門店の四半期別の専門店売上高は、1Q(対19年度77.5%)・2Q(同77.6%)・3Q(同86.3%)・4Q(同88.5%)と後半に持ち直しを見せたものの、すべてのクオーターでマイナスに沈んだ。
海外は、中国の伸び(19年度から72億円増)が東南アジアの落ち込み(同8億円減)をカバーした。中国既存19モール専門店の四半期別売上は、3Q(対19年度97.6%)を除き、1Q(同111.5%)・2Q(同107.7%)・4Q(同104.3%)とコロナ前を上回った。
営業利益は不動産賃貸収入の伸びに伴う粗利収入増(前期から62億円増)が販管費増(同23億円増)をカバーし、増益で終了した。
今期は中国事業の成長で増収増益を計画
2023年2月期の業績予想では、営業利益が対前期比45.2 %増/前期から172億円増の555億円、当期純利益が同19.3 %増/同37億円増の230 億円を予想する。収益認識に関する会計基準の適用に伴い、営業収益は前期と単純比較ができないが、基準変更前で試算すると同13.3%増となる見通しだ。
イオングループの中期経営計画(2021年2月期~2023年2月)もいよいよ最終年度を迎える。今回の決算発表と同時に、コロナ影響が長引いていること、海外出店交渉の遅れを理由に、従来の計画(営業利益680億円)よりも目標を引き下げた。
セグメント別の営業利益については、国内は2020年2月期に対し86.7%にとどまるのに対し、中国がけん引する海外は120.4%の成長を見込む。営業利益に占める海外の割合も、1割から2割に高まる見通しだ。