24年11月1日号 ほんとはスゴイ生協

行き過ぎた株主資本主義が企業を疲弊させる事例が頻発するなか、“古くて新しいモデル”として今あらためて注目したいのが、生活協同組合(生協)です。

「地域住民=お客=株主」という生協の持つ独自の枠組みをフルに活用すれば、資金調達を含め、持続可能で地域密着した強固なビジネスモデルをつくることができるのではないか――。そんな仮説に基づいて全国の先進生協を取材するとともに、消費者調査、識者へのインタビューを実施。「生協」型経営の神髄とメリットを考察してみました。

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編集後記

 生協特集では、行き過ぎた株主資本主義を引き合いに出して、生協におけるステークホルダーの関係性について書きましたが、その時に思い出した一冊があります。
 コロナ禍真っ只中の時期に少し話題になった『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』。ギリシャの経済学者で同国財務大臣も務めた著者が、“理想”の企業統治と経済社会のあり方を書いた、異色のSF経済小説です。社員は入社すると1株割り与えられ、退社するとその権利を失う。賃金は一定だが、社員同士で評価し、その評価に基づいてボーナスが支給されます。資本家に支配されない社会はどんなものなのか、そんなパラレルワールドを味わいたい人はぜひ。

阿部

 生協特集で担当したコープデリのカタログをめくりながら、亡くなった祖父をふと思い出しました。家事の一切を任せていた祖母に先立たれた後、祖父はコープこうべを利用するように。「男1人で店でよう買物せん」と言い、毎週カタログをめくって商品を選んでいました。お気に入りの食品や季節物を味わったり、配達員との交流を楽しんだり。生協を通じた買
物、食事の楽しさが、15年以上にわたった1人暮らしを支えていました。丁寧に日常を紡いでいた祖父に比べ、1人で適当に生きている自分を少し恥じました。

(北野)

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