ChatGPTで小売業はどう変わる?事例で知る10の活用分野と注意点とは?

文:AIエンジニア:清田尚行
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AI技術の進化は、小売業界にも大きな波を呼んでいる。現在、そのAI分野の第一線で活躍しているのが、OpenAIが開発したAIチャット「ChatGPT」だ。このテクノロジーが小売業界におよぼす可能性について、AIアプリケーション開発事業などを行うROX(兵庫県/中川達生社長)でCTO(最高技術責任者)としてAI技術の開発に携わっていたAIエンジニアの清田尚行氏が詳しく解説する。

AIテクノロジーの新たな支配者

 ChatGPTとは、大規模言語モデル(LLM:膨大なデータに基づいてテキストを生成するアルゴリズム)の「GPT-3.5」(無料版)または「GPT-4」(有料版)を使用したAIチャットサービスだ。

 GPT以外にも多数のLLMが存在し、グーグル(Google)は「Bard」、メタ(Meta)は「LLaMA」を開発するなど、GAFAMの多くがLLMの開発競争を行っている。

 GAFAMの一角、マイクロソフト(Microsoft)が提供するサーチエンジン「Bing」にChatGPTが搭載されたニュースを耳にした人も多いだろう。マイクロソフトは、「Word」「Excel」などが入るビジネス用のアプリケーションソフト「Office」やその他アプリケーションにも、ChatGPTやその他LLMを用いた新機能を搭載することを発表した。

 多数あるAIチャットのなかでもChatGPTは最も知名度が高く、リリースからわずか2カ月でアクティブユーザーが1億人を突破。多くの人が注目し、日々利用されているサービスだ。

 ChatGPTは米国の司法試験で上位10%に入る成績を出したり、MBAコースの課題をクリアしたり、非常に高い学習能力を持っている。しかし、今のところ「人工的な知能」は持っていないと考えられている。某有名アニメのネコ型ロボットのような振る舞いはできないし、ChatGPTが行っている作業は「入力された特定の文字列を読み、次にくる可能性が最も高い単語を予測」しているだけにすぎない。

 その作業が具体的にどのようなものか、説明しよう。たとえば「英国の首都は」というフレーズに続く単語は「ロンドン」の可能性が最も高いだろう。「おそらく」と言ったのは、「英国の首都は」のあとに「きれい」や「金融」などの単語が続く可能性もあるからだ。

 ChatGPTは単語の出現確率をもとに、文脈に基づいた最も適切な単語を選択する。ただ単に次の単語を予測するだけのAIなので、効果的に使用するには工夫が必要になる。たとえばテキストを入力する際に、使用者側の要求や要望に関連する「あなたはプロのデータサイエンティストです」といった前提となる情報を細かく定義することが大切だ。ほかには、事前に具体例を提供することでAIの予測性能を高めることもできる。

小売業でChatGPTを生かせる分野

 自然言語処理技術を駆使して人間同様の会話を可能にするChatGPTは、小売業界における顧客対応から在庫管理まで多くの業務を効率化、最適化できる可能性を持っている。具体的には、以下の分野で活用できると予想される。

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