ファミリーマートの無人決済店舗 「24年度1000店体制」が現実的なワケ

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母店に対するサテライト店という位置づけ

今後の無人決済店舗の出店戦略はどうなっているのか?

 基本的には母店が存在する狭域商圏にサテライト店として出店する。
2号店、3号店は、西武鉄道や東武鉄道といった鉄道会社グループのフランチャイジーによる出店となったが、駅売店の潜在性は大きいという認識だ。

 それというのも駅売店は人件費削減や運営効率化のために、次々と閉鎖されてきた過去があるからだ。狩野氏は「閉鎖の場合、新聞、雑誌やたばこなどの売上が失われてしまいます。たとえば日販10万円ならば、年商3650万円×店舗数分の売上が消えてしまいます。けれども小規模で運営費の低い店舗なら採算ベースに乗る可能性が高くなります」。

 実際、提携する鉄道会社から「無人決済店舗を出店したい」という問い合わせを多く受けるという。となると、鉄道関連の売店だけでもかなりの数の出店が見込めることになる。

 さらに小規模店舗がマッチする病院や公共施設内の売店、オフィス、大学キャンパスなど出店が見込める場所は多い。

駅ナカ・コンビニ「トモニー中井駅店」の店内
西武新宿線中井駅南口で運営する駅ナカ・コンビニ「トモニー中井駅店」の店内

ファミリーマートでは2024年度までに無人決済店舗1000店の出店を目標としている。

 「当社の無人決済店舗は、実験ではなく実用・大量出店の段階に入っています。今、取り組んでいるのはモジュール方式の無人決済店舗です。例えば2.5坪をミニマムなモジュールとして、2つつなげれば5坪、4つつなげれば10坪というように不動産に合わせて変幻自在に店舗規模を変えられます」(狩野氏)。

 そして店舗数を増やしながら、バージョンアップを図っていく。
「1000店も出店できれば、カメラやセンサーなどのコストも変わってくるでしょう。立地と店舗面積にあったアイテムを柔軟に揃えて狭商圏の需要にも対応したい。いずれにしても、これまで出店が困難であった立地における、無人決済店舗を各所にアピールしていきたいところです」と狩野氏は抱負を語った。

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