現場スタッフが1人しかいないなか、アパレル企業クロスプラスが店舗の付加価値を高めた方法

染谷 剛史 (HataLuck and Person代表取締役)
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ブランドの“広告塔”である販売スタッフをどう教育するか

 リアル店舗がお客さまに価値ある購買体験を届ける際に重要なのは、魅力的な売場づくりと気持ちのよい接客です。クロスプラスは1人現場がゆえに教育機会が限られていましたが、マニュアルだけでは身につけることの難しいスキルをデジタルツールの活用により自発的に学べる環境をつくることができました。多くの販売スタッフが他店舗の様子をリアルタイムに確認できることにメリットを感じています。

 販売スタッフはブランドの“広告塔”です。ただ商品を売るのではなく、ブランドのコンセプトやイメージを伝える大切な役割を担っています。顧客との対話の中で、それぞれの嗜好や状況を把握して最適な商品を提案する――。「この人にお勧めされたコーディネートが気に入った」という購買体験の積み重ねがリピーターを生み出します。

 店ではなく「人」に顧客がつくからこそ、リアル店舗では一人ひとりの活躍が重要になります。販売スタッフが笑顔で自信をもって接客するには、スキル向上はもちろん、モチベーションアップも大切です。クロスプラスでは、デジタルツールによって、店舗の垣根を越えてスタッフ同士が交流しています。売れ行きが芳しくない商品のアプローチの仕方をアドバイスしあったり、商品在庫の移動などをスピーディに相談したりするなど、商品ロスの改善にも取り組んでいます。

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記事執筆者

染谷 剛史 / HataLuck and Person代表取締役
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。

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