店舗の概念覆す、フーマーフレッシュ2つの特徴とは

福田 稔、山口 航平(ローランド・ベルガーシニアコンサルタント)
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EC売上高は店舗の倍以上

 現在、コロナ禍の影響もあり日本および世界中でEC化やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の動きが進んでいるが、2016年にはすでに、中国のIT大手アリババ(Alibaba)の創業者であるジャック・マーが「純粋な『EC』の時代は終わる」としたうえで、「ニューリテール」という概念を提唱している。

 ニューリテールとは、データやテクノロジーを活用しDXを実現することでオフラインとオンラインを融合させ、これまでよりも満足度が高く優れた顧客体験を届ける小売ビジネスのことである。今回は、まさにこのニューリテールを体現している、中国の生鮮食品スーパー(SM)、盒馬鮮生(フーマーフレッシュ:以下、フーマー)の取り組みを解説する。

 フーマーは、日本では小売関係者やEC・DXに関わる人を除いて、一般的にはあまりなじみのない存在かもしれない。16年に立ち上げられたアリババ傘下のSMで、現在中国国内に300店舗以上を展開している。ただし、食品や日用品が並べられているだけの従来型のSMではなく、最短30分程度での配送や生鮮食品のEC販売、オンラインとオフラインの垣根を越えた新たな買物体験の提供に取り組んでいる点が特徴だ。

 まず前提として、生鮮食品のEC化は多くの国で進んでいないという事実に言及しておきたい。中国も例外ではなく、家電や化粧品などと比較して生鮮食品のEC化率は低い傾向にある。

 対してフーマーは、EC売上高が

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