コロナ禍でリアル店舗のデジタル化が加速 今後は得られたデータの活用がより重要に
非接触型の店舗はコロナ禍で必須に
そのほか、国内小売最大手イオン(千葉県/吉田昭夫社長)傘下のイオンリテール(千葉県/井出武美社長)は、新たな決済システムとして、「どこでもレジ レジゴー」の運用を20年春から本格的に開始。貸出用のスマホで購入する商品をスキャンした後、専用レジで2次元バーコードをスキャンし、支払い方法を選んで会計する仕組みだ。
トライアルやイオン、U.S.M.Hのほか、ローソン(東京都/竹増貞信社長)などコンビニエンスストア各社をはじめ、大小さまざまな企業がレジレス店舗やキャッシュレス店舗などの開発に乗り出している。これまで、米アマゾンが開発したウォークスルー決済型の「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」をはじめ、AIなど最新のデジタルテクノロジーを活用した店舗は、顧客が「新たな買物体験ができる場所」として一部の企業が提供していたに過ぎなかった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、「3密」を回避することができるこのような技術は、普段使いの店舗でももはや必須になりつつある。
では、小売各社は単に店舗のデジタル化を進めるだけでよいのだろうか。長沼店取材時、トライアルホールディングス傘下でスマートストアに関するAIのシステム開発などを行うRetail AI(東京都)の永田洋幸社長は「スマートストアの定義の1つはデータを収集できること」と話していた。収集したデータを活用し、顧客体験の向上や業務効率化、コストの最適化などに生かすことが重要というわけだ。
今後、3密を避けたいという顧客のニーズの高まりから非接触型の店舗開発に取り組む企業はますます増えることが予想されるが、単にAIなどの設備導入に終始するのではなく、それによって得られたデータや知見をどのように活用していくかがこれからの店舗運営のカギを握るだろう。