業界の風穴あけた「セブン冷凍食品」はいかに売場を広げていったのか
その流れが現在まで続き、コンビニ冷凍食品の市場が徐々に拡大して、セブン‐イレブンの場合は新レイアウトによって品揃えの充実を図っている。2019年春に執行役員商品本部長に就任した高橋広隆は、「売場を拡大したのだから冷凍食品の売上が上がりました、 という考え方をしていない。新しい可能性、新しいハードを(チェーン本部から)もらったのだから、そこに入れるソフトこそが一番重要なのだと認識している」と、新たなヒット商品の開発に勤しんでいる。
コンビニらしいセブン‐イレブンの冷凍食品は、18年秋に開発した「おかづまみ」シリーズだ。「手羽中唐揚げ」「甘辛だれの牛ホルモン焼」「チーズタッカルビ」といった1 〜2人用のおかずにもなるし、酒のつまみにもなる商品である。肉類以外にも「なすの揚げびたし」「海老と野菜のアヒージョ風」など、野菜や魚介を拡充している。
課題は夕夜間の需要をいかにつかむか
さらに19年には「きょうのおかず」シリーズとして「炭火で焼いた牛カルビ焼」「豚の生姜焼き」 「海老チリソース」を投入している。 冷凍食品と並び、カウンターフーズにおいても、おやつやスナックだけではなく、「惣菜」をいっそう強化している。おやつやスナックは、若者や学生の間食需要を満たしているので、これはこれで重点商品だが、セブン‐イレブンは特に食卓に上がる惣菜をカウンターフーズとして充実させている。
コンビニは、早朝および昼の需要については、立地の優位を活かして取り込んでいける。 課題は消費者が、比較的時間をかけて買物ができる夕夜間にある。その時間に競合チェーンのみならず、ドラッグストアやスーパーマーケットといった店舗で買物をするのではなく、いかにコンビニに足を向けてもらうかが問われてくる。そうした戦略の一環に、冷凍食品やカウンターフーズの拡充があるのだ。