パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長:以下、PPIH)傘下のUDリテール(神奈川県/片桐三希成社長)は10月29日、岐阜県美濃加茂市にドン・キホーテ(東京都/吉田直樹社長)とユニー(愛知県/関口憲司社長)のダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY美濃加茂店」(以下、美濃加茂店)をオープンした。旧「アピタ美濃加茂店」から業態転換した同店は、2019年6月開業の「MEGAドン・キホーテUNY鈴鹿店」(三重県鈴鹿市:以下、鈴鹿店)に続き、ユニーが運営する衣料品専門店「APITA CLOTHING」(アピタクロージング)を導入しているのが特徴だ。
若いファミリー層の獲得に注力
美濃加茂店は、JR太多線「美濃川合」駅から徒歩約11分の場所にある。店舗のすぐ近くには国道21号線があり、クルマで来店しやすい立地だ。建物は3階建てで、営業部分は1~2階。1階には直営の食品売場やユニーが運営する衣料品専門店のアピタクロージングとテナント、2階には直営の非食品売場とテナントが入っているという構成だ。売場構成とテナントの中身はほぼ変えておらず、旧店舗の売場レイアウトを踏襲している。
美濃加茂店ではこれまでの業態転換店舗と同様、アピタ時代に取り込めていなかった30~40代の若いファミリー層の獲得に注力する。そのため、1階の食品売場では、菓子や飲料、インスタントラーメンなどの商品を中心に低価格を訴求する。また、生鮮3部門の各売場とPPIH傘下のカネ美食品(愛知県/園部明義社長)が運営する総菜売場では、大容量パックの「メガ盛」をリーズナブルな価格で展開し、育ち盛りの子供がいる家庭の需要に応える。
また、ファミリー層獲得のため、生鮮を中心に大幅な値下げ企画を毎日行う。たとえば鮮魚部門が製造を担当する寿司では、通常1000円程度のマグロの握りを半額近く値下げした500円で販売するなど、お客の目を引く施策に取り組む。
外国人居住者向けの品揃えも充実させる
そのほか、美濃加茂店ではファミリー層獲得のための売場づくりに加え、地域特性に合わせた品揃えも行う。同店のある美濃加茂市は製造業が盛んで、市内には多くの工場があるため、工場で働くブラジル人やフィリピン人などの外国人居住者の比率が全国的に見ても高い水準にある。
そのため、美濃加茂店ではこのような外国人居住者の来店を想定し、ブラジル産のコーヒー豆やブラジルの国民的ソフトドリンクであるガラナジュース、東南アジアでよく食されるジャックフルーツ(パラミツ)の缶詰などの輸入食品のコーナーを展開している。実際、取材時には家族で来店する外国人の姿も多数見受けられた。
2店舗目のアピタクロージング
美濃加茂店の大きな特徴は、1階部分に19年6月オープンの鈴鹿店以来、2店舗目の「アピタクロージング」を導入したことだ。アピタクロージングとは、ユニーが運営する衣料品専門店で、業態転換後もユニー時代のお客に来店してもらうための施策としてダブルネーム店舗に導入している。
品揃えはユニー時代と同様、肌着や靴下、部屋着など、紳士・婦人・子供向けの実用衣料を中心に展開するほか、新規獲得をめざす若いファミリー層に向けてカジュアルウェアやファッション雑貨を新たに品揃えしているのが特徴だ。プライベートブランドとナショナルブランドの比率はおおよそ3:7となっている。
これに加えて美濃加茂店では、鈴鹿店よりもフォーマル、ベビー服などの商品を充実させ、フルラインでの品揃えを実現した。また、子供服や婦人衣料なども強化し、若いファミリー層の支持をさらに獲得したい考えだ。「総合スーパーの衣料品売場が縮小傾向にあるなか、アピタクロージングの品揃えを充実させることで他社との差別化を図りたい」(ユニー衣料・住関本部本部長渡辺秀治氏)。
以上の施策により、美濃加茂店は業態転換前と比較して売上約150%、粗利益約200%をめざす。
なお、同店の開業でダブルネーム店舗は24店舗となった。年内にはさらに5店舗の業態転換を予定しており、22年末をめどに100店舗をMEGAドン・キホーテUNY、ドン・キホーテUNYに変更する考えだ。