東武ストアが駅前小型SMの新業態「フレッシュ&クイック」をオープン!

2022/08/10 05:55
    西岡 克(フリーランスライター)
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    加工食品売場は半減、生肉や生魚は扱わず

     一方、大幅に絞り込んだのがドライグロサリーだ。加工食品は1960SKUと35%減らし、床尺は半減させた。主に調味料や乾物を縮小したが、菓子、飲料、酒、カップ麺は強化カテゴリーと位置付け、縮小率に差をつける。

    加工食品ではオーガニックや糖質コントロールといった若い世代やニューファミリーが関心を持つ商品を強化

     生鮮3品のうち、農産は果物とカットサラダを中心に展開。41SKUと3割減らし、床尺は半減させた。畜産では生肉を置かず19SKUを展開。アイテム数、床尺共に約2割縮小した。

    フルーツとカットサラダは入り口近くで展開。生野菜はトマトや長ネギ、ナス、玉ネギなど最低限に抑えた

     水産でも生魚は扱わず、74SKUとアイテム数は14%減らしたが、前述のとおり、即食性の高い寿司と刺身を展開しているため、床尺は7%増えた。寿司はマグロ、サーモン、タイといった生ネタをサクで仕入れて、店内で調理する。

     刺身はアウトパック商品の他、同社で初めて冷凍刺身(シンガタ食材が製造)も展開。扱いをやめた肉と魚の素材は冷凍肉や冷凍魚といったフローズンで対応する。

     なお、「若いZ世代、ニューファミリー層の取り込みがまだ不十分。これらの客層に向けて、健康弁当をはじめ、オーガニック、低脂肪、タンパク質の商品を増やした」(取締役執行役員商品本部長の浦野浩治郎氏)という。

    同店をプロトタイプにほかの駅前小型店に波及へ

     朝霞台店ではこのほか、店内商品で朝食や昼食を済ませられるイートインコーナーを設置。隣接してドリップ式コーヒーマシーンとオレンジの生絞りジュースの自動販売機2台を導入している。

     もうひとつの同店の大きな特徴が、チラシを打たないという点だ。ゴンドラエンドにおける単品訴求も維持する作業が発生するため、実施しない。従業員数は社員3人、パート・アルバイト19人(170時間換算)と旧店とほぼ変わらないが、オープニング期間が終われば、社員数を減らす可能性もあるという。

     一方で周辺のコンビニへの対抗策として朝7時~10時の3時間、「朝クイック」と称して、おにぎりやペットボトル飲料を78円(税抜き)に値引きするなどタイムセールを実施。朝コンビニで飲料や軽食を購入するお客を取り込みたい考えだ。

     東武ストアは19年5月に「フレッシュ&クイック」屋号で東武スカイツリーライン「曳舟」駅(東京都墨田区)内の商業施設「エキア曳舟」内に出店している。曳舟店は駅ナカで売場面積は78坪と同社最小規模。即食のみでなくSM機能も残し、生肉などの生鮮食品も扱ったが「限られた面積でニーズをつかむにはあれもこれもでは厳しい」(友竹取締役)として、今回の朝霞台店では「思い切って総菜に振り切った」(同)という。このため当初の曳舟店のコンセプトとは異なるとしている。なお曳舟店もその後、即食商品中心にシフトした。

    「朝霞台店はあくまでも実験店。今後お客さまの声を聴きながら進化させていく。ここで成功すれば『梅島店』(東京都足立区)のような駅前の小型店にスピード早くアクションを起こしたい」と友竹取締役は話す。

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