サミットストア王子店
〒114-0002 東京都北区王子6-9-10
電話:03-5390-0061
東京メトロ南北線「王子神谷」駅から徒歩5分
見どころ
▶充実した品揃えを提供しつつ開放感ある売場づくり
▶2カ所目となる「けんコミ」
▶売場改革が進む「コルモピア」
サミット(東京都)は11月20日、東京都北区の「サミットストア王子店」(以下、王子店)を改装オープンした。1993年12月に開業した同店は、サミットの中でも五指に入る繁盛店だ。2020年度の年商は41億円に上る。最盛期には年商約50億円を稼いでいたこともあり、改装により再び当時の水準まで売上高を高めたい考えだ。
王子店は、東京メトロ南北線「王子神谷」駅から南東約450mにある。東京都北区にはサミットの店舗が計3店あり、王子店のほかに、北西約950mに「王子桜田通り店」が、南西約2㎞に「滝野川紅葉橋店」がある。なかでも「王子桜田通り店」(17年3月開業)は、総菜を含む生鮮4部門の対面売場を広げるなど、サミットの新しい商品政策(新MD)を進化させた象徴的な店だ。同店も年商34億円(20年度)を稼ぐ店に大きく成長しており、ようやく店舗運営体制が落ち着いたタイミングで、王子店の施設全体を一新し、大改装するにいたった。
建物構造は地上5階建てで、1階が食品売場、2階が専門店フロア。3~5階、屋上は計330台の駐車場となっている。王子店は基本商圏を半径1.5㎞圏内の6万2858世帯/11万4420人としているが、改装を機により広域からの来店も獲得したいという。
食品売場の売場面積は2306㎡で、1万3415品目を揃える。改装のポイントは、サミットの新MDの導入だ。総菜を含む生鮮4部門に対面売場を導入し、店頭で扱う素材を使った店内加工の即食商品を訴求する。
売場づくりで注力した点は、対面売場を新たに設置し、かつ改装前同等の充実した品揃えを提供するなかでも、来店客がゆったりと買物ができる快適な買物空間を演出することだ。通路幅を一見わからない程度に数センチずつ狭めて売場を捻出したほか、売場導入部の青果売場には低い什器を採用して、出入口から突き当たりの鮮魚売場まで見えるようにして、開放感が出せるようにした。
もう1つ注目したいのが2階の専門店フロアだ。健康を提案する「健康コミュニティコーナー(けんコミ)」と、直営の衣料品専門店「コルモピア」、サミットと同じ住友商事(東京都)グループのドラッグストア(DgS)「トモズ」を横並びで配置している。
なかでも「けんコミ」は21年3月に「鳩ケ谷駅前店」(埼玉県川口市)で導入したもので、2カ所目の設置となる。1カ所目同様に計8台のセルフ式健康測定器を導入し、常駐するトモズの管理栄養士が、測定結果をもとにDgSの商品や、食材・レシピの提案を行う。
サミットは今後、大型施設の改装では「けんコミ」「トモズ」「コルモピア」の3つをセットで導入し活性化を図るケースを増やしていく方針だ。竹野浩樹会長は「けんコミの利用動向を見ると確実にお客さまの来店動機になっている。社会・地域に必要とされる機能・提案を強化し、価格ではない点で選ばれる存在をめざす」と話している。
売場フォーカス
「けんコミ」を導入グループの連携を生かす
2階の専門店フロアでは、「けんコミ」「コルモピア」「トモズ」を横並びで配置。「けんコミ」では、血圧、糖化度、血管年齢などを測れる計8台のセルフ式健康測定器を導入し、常駐するトモズの管理栄養士が、結果をもとにDgSの商品や、食材・レシピの提案を行う。同じグループのメリットを生かし、柔軟な連携体制をとっている
肌年齢測定器を新たに設置
王子店の「けんコミ」で初めて肌年齢測定器を導入した。肌を若々しく保つ栄養素を多く含んだメニューを記載したレシピメモを用意し、食材・メニューの提案につなげる
売場改革が進む「コルモピア」
サミットはコルモピアの売場改革を推進中だ。王子店の「コルモピア」は売場面積933㎡と改装前より30%ほど縮小させつつも、売上増をめざす
開放感のある売場づくり
売場づくりで注力した点は、来店客がゆったりと買物できる、快適な買物空間の演出だ。広い通路幅を維持したほか、青果売場には低い什器を採用し、突き当たりの鮮魚売場まで見えるようにして開放感を出した
新MDを導入
改装のポイントは、新MDの導入だ。総菜だけでなく生鮮3部門にも対面売場を設けている
ペット向けのハレの日商品を提案
ペット用品売場では、サミットで初めて冷蔵什器を設置して、ペット向けのハレの日メニューのコーナーを展開している。「ペットは家族の一員。ハレの日にはペットにもちょっとよいものを買ってもらえたら」(ペット用品売場担当者)と実験的に導入したものだ。カンガルーやダチョウの生肉、ケーキ、ヨーグルトなどを冷凍で販売する。すでに実験導入した店ではケーキの動きがよいという
一体的に売場展開する総菜・ベーカリー
改装前、インストアベーカリーはレジを挟んで独立した場所にあったが、総菜売場に併設し買い回りの利便性を高めた
売場中央で寿司を訴求
緊急事態宣言が明けて総菜の売上高が減少傾向にあるなかでも好調を維持しているのが寿司だ。サミットでは壁面ではなく売場中央に平台を設けて訴求している
売場レイアウト
店舗概要
所在地 | 東京都北区王子6-9-10 |
営業時間 | 9:00~24:00 |
売場面積 | 2306㎡ |
年商目標 | 41億円(20年度売上高実績) |
従業員 | 正社員40.0人、パート・アルバイト59.0人(1人・月173時間換算) |
駐車台数 | 330台 |
記者の目
サミットは201年4月、「コルモピア」を運営していたサミット・コルモ(東京都)と経営統合して以降、同チェーンの売場改革を進めている。たとえば王子店の「コルモピア」では、店の奥まで来店客を誘導するために凹凸を出した売場配置、文字が大きくわかりやすい商品名表示、商品の質感を実際に知ってもらうためのサンプル品の設置など、さまざまな工夫が見られた。このような改革によってすでに実験店では、改装で売場面積を減らしたにもかかわらず売上高が向上する効果が出ているという。今後はサミットの衣料品提案にも注目だ。