ダイヤモンド リテール・カンファレンス2015開催レポート
オムニチャネル・リテイリングの革新
究極の顧客体験・顧客ファン化を実現する戦略的アプローチ
<閉会の挨拶>
SAPジャパン株式会社 インダストリー・バリューエンジニアリング コンシューマークラスター
小売/商社・卸売プリンシパル 土屋 貴広 氏
流通業はコマースから顧客エンゲージメントの時代に
SAPがオムニチャネル化を全面的に支援
SAPのオファリングを目的別に4層構造に分類
SAPジャパン株式会社
インダストリー・バリューエンジニアリング
コンシューマークラスター
小売/商社・卸売プリンシパル
土屋 貴広 氏
流通業を取り巻く状況は大きく変化している。顧客の嗜好やツールの多様化により、顧客に対する応対も変化しなければビジネスの拡大は望めない。ただ、顧客のジャーニーは「個」に応じて様々あり、それに応じて各社の描くジャーニーもそれぞれユニークなスタイルとなる。
SAPとしての説明にあったように、我々のオムニチャネルオファリングはマルチチャネルなど顧客体験の強化だけでなく、顧客を理解するインサイト、マーケティングオペレーションのデジタル化、そして既存オペレーションの合理化の4層構造となっている。
“顧客体験”をどのように溜めて行くか、そして顧客を理解するために高速PDCAを回しインサイトを高め、マーケティングに反映していく。その結果を既存のオペレーションの合理化に確実に生かし改善の余剰を創出していくという階層構造だ。
ただ、取り組み方法として各社それぞれの戦略がある。また、既存資産も異なり、全てを新しい仕組みに移行できない場合もある。そこで手を打てるところから着手し、各社における改善サイクルを着実に実行していくというのがSAPからの提案である。
オムニチャネル化で在庫精度も重要なテーマに
今回のカンファレンスでは、無印良品の事例とすかいらーくの事例が紹介された。無印良品のケースでは「顧客との時間を共有する」ことで成果を出し、すかいらーくは現場主導でデジタル化を進め費用対効果の向上を実現している。これら顧客側の変化に対する対応として、SAPから既存の業務システムと連携しフロントのツール活用につなげる仕組み(データ統合基盤やデータ分析、マーケティングオペレーションの自動化)の提案も行った。さらにSAP顧客のオムニチャネル事例では、単にフロント側の改革だけでなく、供給側での“在庫精度”も重要なテーマとして上がっている。まさにこれは、顧客側と供給側双方のエンゲージメントを推進する必要があると付け加えた。
ただ、各社の置かれた環境は様々であり、業務や既存システムの複雑さも企業によって異なっている。SAPでは各社事情に則したロードマップを描くために、SAPに何ができるのか?を理解するためのワークショップを随時開催すると同時に、オムニチャネル化に何が必要で、カスタマージャーニーをどう描くか、システム化必要性や目的の明確化、システム化計画の策定などを通じて流通業を支援できる体制を整えている。