ダイヤモンド リテール・カンファレンス2015開催レポート
オムニチャネル・リテイリングの革新
究極の顧客体験・顧客ファン化を実現する戦略的アプローチ

2015/04/20 16:57

インメモリと機械学習がシンプル化するマーケティングデータ活用

 

SAPジャパン株式会社
ソリューション&イノベーション統括本部
アナリティクスソリューション本部
シニアソリューションプリンシパル

岩渕 聖 氏

 SAPのオムニチャネル化に向けた提案は、4つの構成要素がある。まず、顧客デマンドベースでのオペレーションやインフォメーションフローの最適化、生産性改善など既存オペレーションの合理化を図る。さらに顧客情報に対してマーケティングオペレーションのデジタル化を図り大量かつ高速のPDCAを回す仕組み。さらにインタラクションや機械学習による分析の高度化・高速化などにより顧客を理解すること。そして購入前の段階から購入後に至るまで顧客体験を強化することの4つの要素がある。すでに海外でもマーケティングや営業領域で多くの導入企業があり、国内でも先進的な企業が導入を進めてきた。

 

 これをテクノロジー面で支えているのが、SAP独自のインメモリDBのHANAである。従来は1日かけてバッチ処理していたデータを数秒で処理できるので、鮮度の高い情報提供が可能になる。例えば東京-大阪間が1秒で結ばれるとしたら、それだけで人の動きが変わる。同様に高速処理が可能になることで、大きな業務変革を起こすことが可能だ。これまで困難だった、マーケティングデータ分析のリアルタイム化などが容易に実現できる。

 

自動化により従来6週間を要した作業を数時間に短縮

 

 リアルタイム化が可能になることで、過去データの分析だけでなく予測もひとつのプラットフォーム上で瞬時に行うことができるようになる。そのため仮に予測が間違っていても、すぐに是正することができる。

 

 また、機械学習エンジンにより、従来は分析の専門家に依存していた業務から解放されるメリットもある。データマイニングを導入した企業でも、対象となる分析シナリオを全て実装できないため精度が高まらなかったり、専門家に依存するため属人化しモデルが発展しなかったり、このため時代の変化に乗り切れないという課題があった。

 

 SAPは昨年、KXEN社を買収し、このデータ解析エンジンをInfiniteInsightとして提供している。データマイニングを自動化したことで、従来は約6週間を要した作業を自動化により数時間程度で完了でき、生産性向上に加え意思決定制度向上にも貢献できる。

 

 すでに海外では500社以上、日本でも約50社が採用しており、今後も自動化された機械学習エンジンの活用は一般化していくだろう。高度な分析やマーケティング戦略を同一の基盤で行えるシンプルな仕組みを構築することが不可欠の要素である。

 

 

<<<関連資料(英文)はこちらから>>>

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