ダイヤモンド流通戦略セミナー2014報告
ドラッグストア 顧客データ分析・活用戦略
DgSにおける
リアルワールドデータの
活用方法とその事例
日本医療データセンター(JMDC)
収集するレセプトデータは
健保組合から毎月200万人超
本多 功征氏
日本医療データセンター(JMDC)は、健康保険組合を中心とした保険者に集まるレセプトデータの集計・分析を行い、その保険者に提供することとともに、そのレセプトデータから個人情報保護法で定められている個人情報を排除し、保険者の許諾を得たうえで、製薬メーカーをはじめとした医療関連産業や研究機関へ、医療統計データの提供を行っている組織である。現在では毎月200万人以上のレセプトデータが収集されており、その傷病や投薬などのデータを標準化処理している。
レセプトは、保険加入者が医療機関を受診することで発行され、支払審査機関での審査を経て、各保険者に請求されている。しかし保険組合などは運営に関わる人数が少ないことなどから、そのデータを分析して保健指導などに十分に生かせていないのが実情だ。そこでJMDCがそのレセプトデータを受領、解析し、保険者に提供する。これにより保険加入者のどのような層に、どのような疾病が多いかという実態把握が可能になる。
JMDCは、保険者が保有する医科レセプト、調剤レセプト、健診データを取り扱っており、それらのデータをデータベース化している。
JMDCの「Claims Database」は、患者軸での時系列追跡が可能であり、患者の受診行動を反映した実態診療、つまりリアルワールドのデータである。また、複数の健保組合との契約により、加入者ベースで毎月200万人以上の全保険診療行為が収集できている。しかも被保険者、被扶養者の年齢や性別などの属性も把握でき、集団の健康情報のデータとして利用できる。患者ごとにユニークな番号を付与し、ケースコントロール研究やコホート研究にも活用できる。そして、特定の医療機関や保険薬局の情報ではないため、情報離脱がなく受診行動の全てを追跡できるのが特徴だ。
この豊富なレセプトデータの活用拡大を図るため、昨年4月から調剤併設型DgSに対して調剤レセプト分析ツール「Pharmasta(ファーマスタ)」のサービスを開始した。DgS業界は競争激化とともに健康情報拠点として、プライマリーケア領域への参画が期待されていること、薬剤師不足やスキル格差の是正、コアコンピテンス強化の必要性、医師や看護師などコ・メディカルの一員として薬剤師の重要性が高まっているなど、求められる役割が変化しつつある。