ダイヤモンド流通戦略セミナー2014報告
ドラッグストア 顧客データ分析・活用戦略

2014/03/14 16:50
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POSデータ活用は進むが
調剤データ利用は手つかず

 DgSには、医療機関を受診しなくても市販薬を求めて患者は訪れる。そうした半健康人と健康人がまず行くのはDgSであり、潜在市場は非常に大きい。また疾病の慢性化、重症化を食い止める未病や予防に対する情報提供やセルフメディケーションの意識を喚起することで、その潜在市場の掘り起こしは可能だ。

 

 しかし現状を見ると、POSデータなどを基にした物販データを活用したMDはあっても、調剤部門に集まっている調剤レセプトデータを活用しているケースはほとんどないといってもいい。それを集計し分析できる人材も機能もないのが要因だが、それをJMDCのPharmastaを活用することで、補っていくことができると考えている。

 

 一方、OTCメーカーにとっては製品開発やマーケティング、マーチャンダイジングに活用するデータソースが枯渇化、陳腐化しつつある。特定の母集団に対するグループインタビューやデプスインタビューでは、情報にバイアスがかかる懸念もある。現在の市場の要請や動向を把握するためには、医療分野のリアルなデータを即時に分析・活用することが必要になる。JMDCの医療統計データを活用することで、製品開発からマーケティング、MD戦略まで実態に対応した活動が可能になる。

 

DgSを情報武装し
健康情報拠点の機能を拡充

 

 新サービスのPharmastaは、DgSの調剤部門が受け取った患者の調剤レセプトをJMDCが標準化・解析化し使えるデータ、つまり可視化されたデータとして提供する仕組みであり、オンラインのASPサービスとして提供している。レセプトコンピュータが、調剤報酬の請求や調剤時の情報参照を目的にしているのとは根本的に異なり、標準化・解析化したデータを経営戦略、店舗運営に活用することが目的となる。

 

 

 Pharmastaは、DgSチェーンがこれまで集積してきた調剤レセプトデータを患者や処方医薬品別など、それぞれのテーマに即した分析ができるツールである。各店舗の調剤レセプトをデータベース化することで、調剤報酬、医薬品処方の実績別のトレースや患者ごとの「個」の追跡・分析が可能になる。したがって、その企業の各店舗の患者ニーズに合った情報提供や、ターゲットに合わせた価値提供が実現できる。

 

 そして、Pharmastaの主な特徴は3つ。①処方医薬品から患者疾病が予測できる(≒JMDCが蓄積した医科・調剤レセプトをソースとした統計データから適応症マスタを構築・実装)、②固定分析のほか、多様な分析軸からフリー分析ができる(≒レセコンの集計・請求を目的とした固定的、硬直的な軸とは一線を画す)、③JMDC保有の160万人/月 統計データ、健診データを実装、全国推計値との比較が可能−。

 

 また、固定分析としての搭載メニューには、①重点調剤報酬進捗管理、②処方薬傾向分析、③受付状況分析、④医療機関別処方構成分析、⑤患者ごと薬剤分析、⑥患者ごと疾病分析、⑦患者ごと薬歴情報、⑧顧客特性分析、⑨平均単価分析があるが、前述のように、その企業ならではのアウトプットが可能な有効なフリー分析もできる。こうした機能を活用することで、DgSのコアコンピテンスである調剤部門の強化や、プライマリーケアへの参画要請に対する基盤構築と情報武装、薬剤師のスキルアップが可能になり、DgSにとって「健康情報拠点薬局」を実現するために不可欠な要素となるだろう。

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