雑貨専門店に学ぶ若年層をファンにする方法
※この記事はダイヤモンド・ホームセンター誌12月15日号の特集記事を特別に公開しております。
ホームセンターの喫緊の課題は客層の高齢化
ホームセンター(HC)の喫緊の課題はユーザーの高齢化である。
高度経済成長期に拡大したHCは、当時20~40代だった主なユーザーがそのままスライドし、いまやメーン顧客層が50代以上となっている企業が多い。「カード会員を分析すると平均が60歳以上になる」というHCもある。
もちろん、HC各社もその課題に向き合ってこなかったわけではない。若年層を取り込むために、新しいフォーマットの開発、商品政策(MD)の見直し、機能性やデザイン性に優れたプライベートブランド(PB)商品の開発などに取り組んできた。
しかし、それらの施策によって若年層のファンを増やすことができたのは一部にとどまり、根本的な課題解決には至っていない。リニューアルや新規出店で100円ショップを導入するHCも多いが、「人のふんどし」で若年層を取り込むことになるので、中長期的な効果を検証する必要がある。
今後、中長期にわたってHCが成長していくには顧客層を若返らせることと、新たな事業領域を創出することが必要不可欠である。新たな事業領域として有望なプロ市場の開拓については小誌と同時発刊の「DIAMOND PRO DEALER2024年12月号」に詳細をまとめた。
本特集では若年層のファンが多いインテリア雑貨の成功事例を取り上げた。インテリア雑貨、ホームファッション(HF)の分野はHCでも取り扱いがあるが、専門店に遅れをとっているのが現状である。
今回、「LOWYA」(ロウヤ)事業を展開するベガコーポレーション(福岡県)、「Standard Products」(スタンダードプロダクツ:以下、SP)を運営する大創産業(広島県)、「3COINS」を運営するパル(大阪府)、良品計画(東京都)、ロフト(東京都)、クラシングR(愛媛県)をそれぞれ取材した。
各社の共通点は若年層からの支持が高いことである。
20代に人気のLOWYA
LOWYAはECを起点とした家具・HFブランドである。2004年に設立し、現在の売上は約160億円になる。特筆すべきは若年層から圧倒的に支持されている点だ。顧客の年齢層は20代が55%、30代が25%で、全体の8割を占める。
内製化する公式アプリやSNSの運用が集客の要となっている。スマホアプリは累計160万ダウンロードされ、Instagramのフォロワーは111万人、TikTokは30万人、YouTubeの登録者は15万人で、合計すると約156万人になる(24年11月末現在)。
売上の9割程度はPBが占める。製造は海外の数十社の取引工場に委託し、毎月約150コンテナの商品を輸入している。商品企画からインターネット上の販売までを一気通貫で手掛け、コスト削減とスピードアップを図っている。
次なる成長エンジンとしてベガコーポレーションはOMO戦略(オンラインとオフラインの融合)に注力する。23年4月にリアル店舗の1号店「LOWYA九大伊都店」(福岡県福岡市)を出店したのを皮切りに、立て続けに出店を重ねている。今後も年間4~10店舗を出店する計画だ。
「新たにリアル店舗のチャネルを追加したのは、お客さまの実物を見たいというニーズへの対応と、最近はリアル店舗中心の企業もECに取り組むところが増えてきたからだ」と浮城智和社長は説明する。