「クラフトビール」「RTD」「日本酒」、24年の酒部門の差別化ポイントとMD提案!

解説・文:吉田 和司(SBS/SAKETIME代表取締役社長)
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コロナ収束とともに外食回帰の動きも見られるが、小売店においても酒類の需要は底堅く推移している。消費環境が通常モードに戻るなか、酒類部門ではどのような商品政策(MD)を検討すべきか解説する。

飲食業界の消費動向を押さえることの重要性

 酒類のトレンドを把握するには、飲食業界(業務用市場)での消費動向を確認するとよい。なぜなら、飲食店での消費動向は家庭用市場に大きな影響を与えるからだ。たとえば、今日ではハイボールやレモンサワー、「獺祭」のようなプレミア日本酒なども当たり前に家庭で消費されるようになったが、これも飲食店での「消費体験」が家庭に流入した結果である。

 では、コロナも収束した今、飲食店での酒類消費動向はどのようになっているのかというと、コロナ前の対2019年比で90%程度の回復にとどまっている。つまり、酒類の消費量自体が毎年減少している事実を差し引いても、コロナ禍での業務用市場から家庭用市場への“流入分”はまだ一定数残留しているのだ。

 そのため、もし対19年比で酒類部門の売上高がマイナスになっている場合、それは大きく売り負けていることを意味する。場合によってはMDそのものを大きく見直す必要もあるだろう。

 話を飲食店での消費動向に戻すと、外食産業でも原価高騰は大きな経営課題になっている。そうしたなかで業績を好調に維持している飲食店は、たとえばレモンサワーのバリエーションを広げてテイストの違いをわかりやすく伝えたり、あるいは中華料理店で積極的にワインを提案したりと、単価アップのためにさまざまな工夫を凝らしている。

 これらは一時的なトレンドではなく、前述のとおり家庭用市場の消費動向に大きな影響を及ぼす可能性があるだろう。そのためにも食品小売の酒類バイヤーは、飲食店でのトレンドや消費動向を常に意識しておく必要がある。

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