魚肉たんぱく質から健康を考える。 その健康価値に注目が集まる
ひと目でわかりやすいマークで店頭からアピールを
こうした動きの一方で、「フィッシュプロテイン(=魚肉たんぱく質)」をキーワードに、かまぼこなどの魚肉練り製品の健康機能と有用性をアピールしているのが、一般社団法人 日本かまぼこ協会である。
同協会の起こりは、1940年と戦前にまで遡る。その後、「全国水産煉製品協会」を経て、2019年4月に現在の名称に。北は北海道から南は沖縄まで、会員企業数は約500社にも上る。業界発展のため、品質、安心安全、健康を消費者に届けることをモットーに掲げる。
その活動内容は幅広いが、現在、力を入れるのは、魚肉たんぱく質の普及をめざした種々の施策。「フィッシュプロテイン」という名称を使い、幅広い層からの注目を集めようとしている。
背景を、荻原正明専務は次のように明かす。「魚肉は体にとてもよい栄養を含んでいることを伝えるためには、若者にも受け入れられやすいネーミングが必要だと考えた。いくつもの候補があったが、最終的に『フィッシュプロテイン』で訴求する方針を固めた」
活動を時系列で見ると、20年10月、魚肉たんぱく質の重要性をアピールするため、「フィッシュプロテインマーク」を制定。同協会が定めた基準をクリアした魚肉練り製品は、パッケージにマークをつけて、食品スーパーをはじめ量販店、専門店で販売することができる。現在、対象商品は、会員企業のうち50社、480品目(23年7月末時点)にまで増え、売場での存在感が増している。
その後21年8月には、毎月24日を「フィッシュプロテインの日」に制定。以来、「良質なたんぱく質に加え、低脂質が特徴」を謳い文句に、かまぼこをはじめ魚肉練り製品の健康機能と有用性をアピールする。
さらに22年10月には、登録者数が約58万人(23年8月時点)の健康系You Tubeチャンネル「予防医学ch」とのコラボレーションを実現。動画内では、高たんぱく・低脂質で、消化にもよい魚肉練り製品の健康効果を、アニメ仕立てでわかりやすく解説した。
また、直近では同協会初の試みとして、「フィッシュプロテインマーク」の普及を目的に、豊洲市場中央卸売市場合同展示会(7月4日)を皮切りに、大阪中央卸売市場展示会(7月8日)、日本アクセス「東日本 秋季フードコンベンション2023」(7月26〜27日)にてブースを出展。メーカーの枠を超えて、魚肉たんぱく製品の魅力を改めて訴求した。
この取り組みを中心となって進めたのは、同協会会員企業各社の女性を中心とするメンバーだ。昨年12月、流通部会の中に立ち上げたマーケティング委員会に所属する面々で、魚肉練り製品の販売促進に向けて、日々活発にコミュニケーションを交わしているという。「フィッシュプロテインマーク」を記載した店頭販促ツールを用意して、売場でのコーナー展開を提案していくほか、今年11月15日の「かまぼこの日」に向けても、さまざまなプロモーションを展開する予定だ。
こうした多方面からのアプローチを受けて、改めて魚肉たんぱく質に多くの注目が集まりそうだ。