値上げ、時給上昇時代の精肉部門の商品政策と人時生産性を高める方法とは
昨年に引き続き、1万品目にもおよぶ値上げ攻勢のなか、食品スーパー(SM)の精肉部門はどのようなことに取り組まなければならないのか。本稿では、「第1次焼き肉商戦」ともいえる夏を迎える前に知っておきたい、値上げ時代における消費者に寄り添った商品設計の見直しや人時生産性向上の考え方について解説する。
1パック当たりの価格で値ごろを感じてもらう
原価や販管費が異常なほどの値上がりを続けている昨今、商品の価格を見直さなければならないのは当然のことだ。しかし、原材料の値上げ分をそのまま売価に反映させればよいかというと、そうではない。また、明らかに量目を減らして価格を維持するなどの小手先の戦略では、消費者の信用を失ってしまうおそれもある。こうしたなか、まずは単に価格を上げるのではなく、商品設計や値入れのやり方から見直していく必要がある。
まず、精肉部門における価格設定について考慮すべき点から解説する。当然のことだが、精肉部門の売上は、100g当たりの売価や1パック当たりの量目、1人当たりの買い上げ点数、来店客数などによって決まる。その中でもポイントとなるのが1パック当たり売価と用途別1人当たりの量目で、この2つの指標を品揃えに落とし込むことが効率のよい値上げ対応につながることは言うまでもない。
消費者に支持される売場をつくるためには、価値に見合った商品設計を考える必要がある。100g当たりの売価は、畜種や部位のグレードを示す指標だが、消費者は実際には100gではなく1パックに入っているグラム数と売価で購入する。この1パック当たりの単価で消費者は商品の値ごろ感を判断するため、それに合わせた価格設定が重要だ。
たとえば、希少部位であるA5ランク黒毛和牛のヒレ肉のシャトーブリアンが100g当たり1480円で、1パック当たりのグラム数が160gの場合、1パック単価は2368円だ。この商品ならレストランで食べると約5000円はかかる。これと比較すると、家で食べる高級ステーキとしては値ごろ感を持ってもらえる価格設定なのだ。
つまり、1パック当たりの価格でお客に商品の価値を感じてもらえるようにグラム単価を設定する必要がある。また、売場では「ヒレステーキのなかでもシャトーブリアンは限られた希少部位です!」など価値を感じてもらえるPOPの掲出や声掛けなども重要だ。こうした取り組みは精肉部門のすべての商品に通ずる。
1人前当たりの必要量目を設定する
精肉部門での畜種単価から見れば、牛肉の4分の1である鶏肉はこのような考え方が有効である典型的な商品だ。親子丼用の鶏肉を考える場合、
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