ノンアルで「飲みニケーション」? 変わる「飲み」の意味とスーパーマーケットの機会

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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シラフで語り合うのも普通のこと

 身体を張るようにして飲み比べをしてきた団塊世代も団塊ジュニアも(一部の人ですが)、今までだって酒類がなくても「飲み」は成立していました。例えば「お茶をする」という機会がそれで、茶とはいいながら、だいたいはコーヒーを飲んでいたはずです。ドリンクバーで何時間も過ごした経験だって、なくはないでしょう。
 だからZ世代が酒類なしで集いを楽しむとしても、不思議に思うことはありません。コロナ禍を経て、集いのあり方も多様化したことでしょう。そんな集いの「飲み」には、ちょっと高単価なドリンクが許容されるのかもしれません。その先駆けとして、クラフトコーラの流行は「ちょっといい清涼飲料」の許容範囲を引き上げたようです。

 高単価な清涼飲料といえば、イオングループがプライベートブランド(PB)として商品化した「クラフテル」の第一弾「19 Nineteen」です。税込で300円を超える高単価ながらも、発売から半年を経て、3月26日から全12品が全国展開になりました。このシリーズはエナジードリンクのようにカフェイン含有で気分をアゲルといったものではなく、味や香りを楽しむという、ただそれだけのものです。それがこの単価で、商品名の通りの世代に支持され、首都圏から全国に広がるというのは……。きっと、仲間との集いの場でも飲まれているからではないかと、想像する次第です。

 イオントップバリュは、クラフテル開発の背景として、「若者のアルコール離れや、ポジティブにあえて飲まない“ソバーキュリアス”という新たなライフスタイル」の広がりを挙げ、「ジュースでは体験できない奥深い味わい」を提供するとしています。

 そして「クラフテル」第2弾として同じ3月26日、もっと大人世代に振ったドリンク「BAR-ish」を発売しました。8品同時で、価格も「19 Nineteen」と同じ税込302円です。

大人世代向けに提案するトップバリュのノンアル飲料「BAR-ish」

 「BAR-ish」は、ローアルコールとノンアルコールに特化したバー「LOW-NON-BAR」がレシピを監修しているそうで、カクテル代替を狙ったものといえそうです。これも酒類のない「飲み」のシーンを広げる意図であることは確かです。

 ノンアル飲料を片手に、大人がシラフで語り合う……

 それでは本音が出ないでしょうか? しかし、酔って口にする言葉はその場のノリがほとんどで、それは本音で伝えたいことでもないような気もします。シラフになって考えると。

 

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