食べ放題の心理に寄り添う! 値上げしても「焼肉きんぐ」が絶好調の納得の理由

聞き手:中原 海渡 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
構成:玉木 成子(フリーライター)
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マニュアルのない“おせっかいな接客”

 焼肉きんぐが競合の焼肉チェーンと差別化を図るために提供しているサービスはほかにもある。その1つが、「焼肉ポリス」による接客サービスだ。

 「焼肉ポリス」とは、店内を見回り、必要に応じてお客に肉の焼き方や美味しい食べ方を教える、“おせっかいな接客係”だ。物語コーポレーションには「焼肉ポリス」の教育を専門としたチームがあり、かつて「レジェンド店員」と呼ばれた接客のプロフェッショナルがリーダーを務める。そのリーダーやチームメンバーが全国の店舗を行脚し、店舗スタッフ(焼肉ポリス)を指導・教育するかたちだ。

 山口氏は「『焼肉ポリス』の接客はマニュアル化していない。お客さまの好みに合わせて焼き方を指南していくことが大事だからだ。もちろん、望まないお客さまには指南しない。すべてのお客さまがリラックスして外食を楽しめる店舗をめざす」と述べる。

特急レーン/生田川店
特急レーン/生田川店

 ほかにも店舗運営においては、デジタル化に力を入れる。とくに注力しているのが、2021年から採用している配膳ロボットと、料理を自動で客席まで運ぶ「特急レーン」だ。これらはいずれも、時間制限のある食べ放題サービスにおいて、お客の待ち時間を短縮することや、スタッフの空いた時間を接客に充てることを目的に導入している。山口氏は「単なる省人化や経費削減ではなく、サービスの一環としてデジタル化を推進している」と説明する。

 出店戦略では、これまでは郊外出店に力を入れてきたが、今後はデジタル設備が整った店舗を都心部や駅前立地に出店することも視野に入れているという。コロナ禍前(196月末時点)より50店舗以上増やし236月末現在は305店舗を展開する焼肉きんぐの、今後のさらなる進化が注目される。

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聞き手

中原 海渡 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

神奈川県出身。新卒で不動産仲介業の営業職に就き、その後ライター/編集職に転身。

2022年10月に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。ダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集部記者として記事執筆・編集を行う。

趣味は音楽鑑賞(ポップス/ロック)と、最近はレコード&カセット収集。フィジカルメディアが好きで、本も電子書籍より実物派。

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