災害対策、除菌、アウトドア、収納。コロナ禍においてカー用品が見直されている
新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症拡大の影響で、カーライフが見直されている。一方で、新しいカーライフの提案も求められている。エンパイヤ自動車による「EMC FAIR 2021オンライン展示会」から、売場提案を紹介する。
コロナ禍でクルマの利用増える
新型コロナ感染の第一波に当たる2020年3~5月、カーライフは不要不急とくくられることもあって、ホームセンター(HC)におけるカー用品・アウトドアは、売上で前年割れとなった(経済産業省「商業動態統計」)。
しかし、コロナ禍で公共交通機関を避けるために、クルマの利用は増えている。ホンダアクセスが実施した「緊急事態宣言下のカーライフに関する調査」(20年4~5月)によると、クルマを運転する機会が「増えた」と回答した人の割合は60.6%だった。
運転が増えた理由は、「生活必需品の買物」が突出して高く、以降、「通勤・通学」「家族の送り迎え」が続き、密を避けるためにクルマを利用する機会が増えたことが明らかだ。
さらに緊急事態宣言下で、クルマに関して行ったことを聞いたところ、「洗車をする」「車内を掃除する」「車内を換気する」が挙がり、巣ごもり需要が顕在化した。
カーライフが見直されている理由には、この数年頻発する、地震、水害などの自然災害を受けて、クルマの防災グッズへの意識の高まりもある。また、密を避けるためにアウトドア、キャンプが見直され、売上を伸ばしている。
こうしたことを背景に、HCにおけるカー用品・アウトドアは、6月に13.4%増と2ケタの伸びを示し、以降、9月の前年の消費税増税による駆込需要の反動を除くと、21年に入っても売上高は前年比でプラス基調が続いている。
困りごとに気づきを与えて需要喚起
3月に開催されたエンパイヤ自動車の「EMC FAIR2021オンライン展示会」は、小売店向けに「車中泊」「除菌」「災害対策」「洗車」「収納」「HOW TO・シーズン・お困りごと」の6つのテーマで売場提案を行った。
いずれのテーマでも、ユーザーに気づきを与えることに主眼を置いている。
たとえば、災害対策においては、「クルマの防災で備えるグッズがわからない」ユーザーが6割強も存在するという市場調査結果を踏まえて、最近頻発する水害に焦点を当てた提案を行った。具体的な商品として、豪雨対策としてガラスコーティング剤、浸水に対する備えとして緊急脱出用のハンマー、水害時にタイヤがパンクする事例が増えることからパンク修理剤など。また、断水に備えて各種携帯トイレや停電に備えたソーラー充電器も、併せて提案した。
車中泊では、プライバシーを守るカーテン、車内の凹凸を埋めるエアベッド、ライトやポータブル電源などを提案。
収納では、軽トールワゴン等の天井の高いクルマに天井収納の提案を行っている。巣ごもり需要を受けて、洗車やメンテナンスの提案も強化している。洗車をしながら除菌対策を行う「ながら除菌」を提案。同時に、季節に合わせた需要喚起や、ユーザーの困りごとを店頭で気づかせ、関心を持ってもらうことの必要性を訴求した。
雨の日の運転が怖い、運転中に窓ガラスが曇る、買物の荷物が気になるなどの問題解決が、カー用品の需要拡大につながる。災害対策にしてもコロナ対策にしても、具体的な商品を提案することで気づきを与えることができる。
この数年、伸び悩んでいたHCのカー用品・アウトドア売場だが、コロナ禍を奇貨にして、ニューノーマルなカーライフの提案を行うことで、市場の活性化を図っていきたい。