精肉市場創造2020:データで読み解く 人気の3畜種 ウィズコロナ時代における内食のニューノーマルとは
レシピ数331万品以上、月間利用者数5800万人を数えるクックパッドには、日々たくさんの検索・アクセスログデータが蓄積されている。食材やメニュー名に限らず興味のある「コト」の検索も多く、年間約12万語以上のキーワードが検索されている。そんな中でも3畜種は常に人気食材上位にランクインしており、19年度の年間検索キーワードランキングでは「豚」は2位で、「鶏」は10位、「牛肉」は39位となっている。今回はこれら3畜種に関する検索ワードから、どのような調理ニーズや肉料理のトレンドが存在しているのか分析してみたい。
たべみる by cookpad
たべみるはクックパッド株式会社が提供する、食の検索データ分析サービス。
【クックパッド】
クックパッドは、1998年3月にサービスを開始した日本最大の料理レシピ投稿・検索サービス。月次利用者数は約5800万人、20~40代女性がとくに多く利用している。
ますます浸透する「下味冷凍」 人気食材は定番の「鶏むね肉」
肉の調理法において昨今注目されているのが、「下味冷凍」である。これは、肉を冷凍保存する段階であらかじめ調味料や野菜を入れてパッキングする調理法で、調味料の効果で肉に味が染み柔らかくなることも期待できる。また冷蔵の「つくりおき」より保存期間が長いのも、浸透が広がる理由だろう。また食べる際は解凍し、食べる直前に焼くだけでいいので時短にもなると支持されている。
「下味冷凍」との組み合わせで最も多く検索されている食材は「鶏むね肉」である。カレーとヨーグルトを合わせてつくる「タンドリーチキン」や、醤油や味噌などを合わせる「山賊焼き」など、味付けのレパートリーもさまざまだ。「鶏むね肉」は以前から手頃な価格で愛されてきたが、近年はヘルシーさも注目され、検索頻度(以降、SI値という(*1))は経年で伸長している。このように人気が高まっている「鶏むね肉」だが、引き続き人気食材として成長していくことだろう。
「調味料名+炒め」での検索数が増加
3畜種の検索頻度は2020年5月以降において上昇し続けている。豚肉ではとくに「豚バラ」や「豚こま切れ肉」の検索頻度が高い。手頃な価格でアレンジもしやすいため、世代を問わず支持されていると考えられる。
さらに、これらの部位は「炒めもの」と一緒に組み合わせて検索されており、「調味料名+炒め」の造語でのメニュー名のSI値が急上昇している。たとえば、「マヨネーズ炒め」の20年のSI値は前年対比(*2)で192%、「ポン酢炒め(119%)」、「オイスター炒め(239%)」「カレー炒め(119%)」なども堅調に上昇している。これらキーワードは30~40代の女性の割合が高く、肉以外の食材に決まりはなく、調理としてのバリエーションの多さと味付けの簡便性が調理者から喜ばれているポイントと考えられる。
豚肉はブロックでも。内食需要拡大によりメニューバリエーション変化
一方で、ブロック肉に関連したメニューの検索頻度も上昇している。20年のSI値が前年対比(*2)で顕著に上昇しているキーワードには、「紅茶煮豚(270%)」「チャーシュー(114%)」「ポッサム(160%)」などがある。いずれも調理に手間も時間もかかるメニューだが、コロナ禍での外出自粛にともない、家庭内での時間が増え、料理に時間をかけられるようになったことから本格的な料理レシピの検索頻度が上昇していると考えられる。
新型コロナウイルスにより内食需要が高まり、時間に追われながらの調理や、自身の食事のための節約ではなく、料理を提供する相手が自宅に常にいることや自宅での時間が長いことで「いつもとは違う調理」をもとめてレシピを検索する傾向にあるといえるだろう。
*1:Search Index:1000回あたりの検索頻度
*2:2020年のSI値は期中であるため暫定値
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