小売業の衛生対策レポート:コロナ禍で高まる消費者の衛生意識 今後は店舗の環境衛生にも厳しい目

文=室作幸江(ライター)
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ライフラインとしての重要な役割を担うSM(スーパーマーケット)やGMS(総合スーパー)。消費者の衛生意識が高まるなか、それぞれどんな感染防止のための取り組みを行ってきたのか? また、今後どのような感染症対策が必要なのかをレポートする。 

コロナ禍におけるスーパーの取り組みイメージ
写真はistock/ThamKC

コロナ禍でオーケー新店開業 周到な感染防止対策で成功

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、去る4月7日、緊急事態宣言が首都圏など7都府県を対象に発出され、同16日には宣言の対象区域が全国に拡大した。

 こうしたなか、食料品やその他生活必需品を販売する小売店舗については、政府からの要請も踏まえ、事業を継続してきた。外出自粛によって巣ごもり需要が加速し、対応に追われる一方、コロナ禍ということもあり、4月に予定していた新店開業を延期する企業が相次いだが、予定どおり実施したのがオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)だ。

 新店オープンといえば、大勢の人が来店するため、感染症のリスクが高まる「密閉」「密集」「密接」の3密の状態になりやすい。そこでオーケーでは開店前から手を打った。まず、通常オープンから3週間、週に1回ずつ新聞に入れている折り込みチラシをすべて取りやめた。店の認知度を高めるための施策だが、大混雑を招きかねないからだ。次に、新店オープン当日は通常の開店時間より30分早く店を開けられるように準備した。営業開始前から来店客が店頭に並び行列ができると、人との濃厚接触につながってしまう。開店セレモニーも控え、行列ができた場合に備えて前後の間隔を空けて並んでもらえるようにカラーコーンで立ち位置の目印をつくった。さらには、来店客が集中した場合には入場制限が行えるように、混雑具合に応じたシミュレーションも実施した。

MDスペシャルオーケー

 このように周到な事前準備を行ったことで大きな混雑もなく、4月21日、「オーケー武蔵浦和店」(埼玉県さいたま市)は無事に開店することに成功。その後もさまざまな感染防止策を徹底している。オーケーの対応策は、コロナ禍での新店オープンはいかにすべきかという参考事例となった。

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