イトーヨーカ堂「ヨーク・デリ」誕生から1年 25年度に掲げる3つの重点戦略とは

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

25年度は3つの重点戦略で成長加速へ

 25年度は「二極化への対応」「簡便・即食ニーズへの対応」「新たな価値の提案」に注力する。

 二極化への対応では、ハレの日と日常の両方に応える価格戦略をとる。少し贅沢を楽しみたい日に適した高価格帯商品と、物価高の中でも気軽に手に取れる低価格帯商品の両軸を強化する。高価格帯商品の一例が「格之進肉おじさん 特製!旨味メンチカツ」だ。同商品は、1399円とやや値は張るが、販売数量・時間を限定し常に揚げたてで提供することにこだわる。現在は2店舗で展開しており、今後6店舗に拡大する予定だ。

「格之進肉おじさん 特製!旨味メンチカツ」(1個399円)は、販売数量・時間を限定し常に揚げたてで提供することにこだわる
「格之進肉おじさん 特製!旨味メンチカツ」(1個399円)は、販売数量・時間を限定し常に揚げたてで提供することにこだわる

 簡便・即食ニーズへの対応では、高齢化や共働き世帯の増加を受け、冷凍食品や生鮮デリカの拡充に取り組む。25年度には即食商品として「具たっぷり紅鮭おにぎり」(250円)、「チョップドハムたまごおむすび」(299円)といった店内製造の手作りおにぎりを投入予定だ。米価高騰への対応として大きな具材を使用し、付加価値を提供する。

 新たな価値の提案では、主に高付加価値素材を使用した商品を開発する。たとえば一部の寿司では、天然地下水で陸上養殖することで安心・安全を打ち出す「桃太郎サーモン」を具材に使用している。

 これらの戦略により、25年度はピースデリ商品の品目数を前年比2倍の90品目まで拡大し、同商品の総菜全体に占める構成比を30%まで引き上げる。そして、イトーヨーカ堂は総菜の売上高構成比15%の達成をめざす考えだ。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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