こだわるなら「用紙」にもこだわろう! POPのプロが教える用紙の選び方

森本 純子 (POPディスプレイコンサルタント/行動心理士/モリモトデザインオフィス株式会社 代表取締役)
Pocket

店頭POP・商品パッケージをはじめとする販売促進ツールデザインを手掛け、セミナーや研修でも実績多数の“POPのプロ”、モリモトデザインオフィスの森本純子氏が効果的なPOPづくりの手法を解説する本連載。連載3回目では、POPの「用紙」にフォーカスして解説してもらった。

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顧客は五感で“読んで”いる?! 感覚へ訴えるPOPとは

 五感には、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚がありますが、五感の中で一番影響を与えているのは「視覚」と言われています。

 視覚から得られるPOP情報には、
①文字で書かれた詳細情報
②イラストや写真などの画像情報
③デザインや配色などの印象情報
 そして、
④POPの材質から感じるテクスチャー(質感)情報
 があります。

 ①〜③は、頭の中で処理を行い理解する情報で、④は無意識で心が動く感覚的情報です。④の無意識レベルにアプローチすることで、プラスアルファのPOP効果が見込まれます。

 では、そうした効果を得るためには、どうアプローチすればよいのでしょうか。

 現在は、ブラックボードやプラスチック段ボール(通称:プラダン)などさまざまな材質でPOPがつくられるようになり、POPの「テクスチャー(質感)」は多種多様になってきています。

プラダンPOPのイメージ(写真:サミットストア桜木町コレットマーレ店)
プラダンPOPのイメージ(写真:サミットストア桜木町コレットマーレ店)

 今回はその中でも多くの人が活用している「用紙」についてお伝えします。詳しく説明するとマニアックなので、簡単に説明すると、用紙は大きく「上質紙」と「コート紙」の2種類に分けることができます。

 「上質紙」は、紙の表面がザラザラしていて、吸水性があり、ノートやコピー用紙、画用紙などに使われています。ちなみに、画用紙は「ケント紙」という名称で販売されています。

 一方、「コート紙」は紙の表面にコーティング加工しているためツルツルしていて、雑誌やノートの表紙などに使われています。

 使用するペンが水性なのか油性なのかにもよりますが、POPにオススメの用紙は「上質紙」です。インクののりもよく、乾きも早いので、POP初心者でも書きやすいと思います。

用紙選びのポイントは「質感」

 用紙の質感は、上質紙のような「ザラザラ」したものやコート紙のような「ツルツル」したものから、「デコボコ」や「ふんわり」したもの、トレーシングペーパーのように「透明感」のあるものなど、たくさんの質感があります。自ら文房具屋さんや紙専門店へ行ったり、メーカーに紙見本を送ってもらったりして、実際に自分の手で触り、感触を確かめるのがオススメです。

質感の違う用紙イメージ
質感の違う用紙イメージ

 また、POPを書く商品やお店の雰囲気に合う質感を見つけ出し、その用紙に合うペンを選ぶことも大切です。ペンを選ぶ際は、使用するPOP用紙に実際に試し書きをして、「文字はハッキリ読めるのか」「思った通りの色は表現できているのか」「インクの定着はどうか」「ペン先は引っ掛からないか」などを確認しておくと、ストレスなくPOPを書くことができます。

 ここで心配になるのが、POP材料費です。高額な用紙も多く、大量に購入するのは難しいと思います。

 ですので、すべてのPOP用紙に使用せず、売れている商品、売りたい商品、オリジナル商品、または特設コーナーでの展開に使用するなど、一部のPOPに使うのがよいでしょう。そうすることで、「この商品は特別」だと演出することができ、お客さまにも特別感が伝わりやすくなります。

 無意識感覚にアプローチできる“こだわり用紙POP”をめざして、まずは1つの商品から取り組んでみてはいかがでしょうか。

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記事執筆者

森本 純子 / POPディスプレイコンサルタント/行動心理士/モリモトデザインオフィス株式会社 代表取締役

東京都出身。ベッドメーカー(POPディスプレイ担当)、企画制作会社(制作ディレクター)、人材教育会社(マーケティングデザイン事業責任者)を経て、2009年に独立。行動心理に基づいた、店頭POP・商品パッケージをはじめとする販売促進ツールデザイン事業を手掛け、セミナー・研修、店舗改善を全国で行い、6000名以上の指導にあたる。

著書 「POPのお悩み解決します すぐ書ける!「稼ぐPOP」のつくり方」 (同文舘出版)
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