食用油市場、コロナ特需の裏年で苦戦するも対19年比では堅調に推移
内食化の流れを受けて好調に推移している家庭用食用油市場。昨年の異常値の反動で2021年度上期は前年割れとなったが、対19年比では上回っていることから堅調な推移といえる。引き続き、健康性やおいしさなどを訴求してさらなる需要拡大をめざしていく。
キャノーラ油からこめ油へのシフトが加速
KSP-POSの食用油の期間通算(2020年11月~21年10月)の金額PIは、9746円で対前年同期比1.4%増。新型コロナウイルス感染拡大で内食需要が高まり、20年度は大きく伸長した。その反動で3月から7月は前年割れとなったが、8月には再びプラスに転じている。
カテゴリー別にみると、高付加価値タイプへの移行が進み、前年割れが続いていたサラダ油・天ぷら油の期間通算の金額PIは5306円で同2.9%増。4月は同11.7%減となったが、全体的に堅調だ。家庭で炒め物や天ぷらなどの調理頻度が高まったことがうかがえる。ごま油も同5.5%増と堅調で、11月~2月は2ケタ増で推移。4月~6月は昨年の反動で前年割れとなったが、7月にはプラスに転じ、堅調な推移となっている。ごま油を使う餃子や炒飯などの中華系メニューの登場頻度がアップしたことが予想される。独特の香りと味わいのごま油は、家庭用食用油の中で3番目に大きなカテゴリーに成長している。
一方、オリーブオイルの期間通算の金額PIは2648円で同3.8%減となった。3月~10月まで前年割れが続いている。単価が下落していることに加え、間口が広がっていないのが要因のひとつだ。今後もオリーブオイルの健康感や使い方の提案で、さらに需要を高めていく必要がありそうだ。
ここ数年、大きく伸長しているのがこめ油。軽くて香ばしい風味と、カラッと仕上がるのが特長で、ビタミンEや植物ステロールなどの栄養素も含んでいる。原料の高騰でキャノーラ油やサラダ油が値上がりしたことで、高付加価値商品との価格差が縮まり、とくにこめ油へ需要がシフトしているようだ。日本人になじみのあるこめ油は引き続き需要拡大が期待されている。