2024年秋・冬新商品「消費者の節約志向」に打ち勝つ食品・飲料が持つ強み

文:石山 真紀(フリーライター・売場研究家)

 信頼感のあるロングセラーブランドやリニューアル品も引き続き人気を集めている。

 明治の「銀座カリー」は、洋食文化が花開いた昭和初期をコンセプトにしたレトロ感あふれるパッケージと、それに合わせた中身が特長のロングセラーブランドだ。発売30周年に合わせて行ったリニューアルでは「銀座カリー中辛/辛口」「銀座キーマ」「銀座バターチキン」「銀座ハヤシ」それぞれで具材を大幅に増量することで、食べ応えや満足感を高めた。さらに、従来通りの湯煎での調理はもちろん、電子レンジでも調理可能なパッケージを採用することで、ユーザーの利便性を高めている。

 加えて「銀座洋食」シリーズは冷凍食品も展開しており、レトルトでは挑戦しづらい洋食メニューのオムライスやビーフストロガノフなどを展開することで、「銀座」ブランドの底上げを図る方針だ。

デザイン刷新で魅力を高める

 丸大食品の「ビストロ倶楽部 ドリアシリーズ」は24年秋に中身とパッケージをフルリニューアル。中でも外食店の人気メニューをベンチマークにした〈ミラノ風ドリアソース〉は、具材のひき肉とトマト感をアップし、よりコク深い味わいに仕上げた。パッケージはドリアのイメージに合う洋食屋のような温かみのあるデザインに刷新し、背景を一色にすることで、シズル写真や商品名の視認性を高めている。

 味の素は洋風メニュー用調味料「Bistro Do®」を24年8月にリニューアル。出来上がり量を「3~4人前」に変更したほか、パッケージのデザインも刷新したことでトライアル購入が増加した。メニュー調味料のうち、中華はメニュー、和風は素材を念頭に購入される傾向にあるが、「Bistro Do®」はソース起点であることからアレンジメニューが想起されやすく、高いリピート購入にもつながっている。

 アフターコロナに入り人流はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるが、長引く原材料価格の高騰、円安などの影響から、消費者の食品や日用品に対する財布の紐は固い。先行き不透明な状況下、変わりゆく消費者の購買行動を分析し、商品構成や売場づくりに生かすことが求められている。

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