人口爆増!コロナ後注目の新商圏「エックスアーバン」とは何か?

文:平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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コロナ収束に伴う人流回復により、実店舗での買物需要も復活したことで、米小売市場では2023年に引き続き、今年も大手小売企業を中心に出店を積極化する動きが目立つ。しかし過去に経験した“小売業界の黙示録”を繰り返さないよう、各社はより緻密な出店戦略を取っているようだ。

小型店、インショップの出店がトレンドに

 まず、今年の各社の出店計画を俯瞰すると(図表)、ディスカウンター、オフプライス、スーパーマーケット(SM)、ビューティ専門店がとくに出店に意欲的だ。

 なかでも注目されるのは、ウォルマート(Walmart)が21年11月以来の新規出店を行う点だ。同社は今後5年間で、スーパーセンターの「ウォルマート」を150店舗、ホールセラーの「サムズクラブ」を30店舗出店する計画を示している。

ウォルマート外観

 ターゲット(Target)もウォルマートと同様の出店ペースで、向こう10年間で300店舗を新規出店し、2000店舗を改装する。これには昨年開発した新たな大型フォーマット(詳しくは記事参照)も含まれるが、直近では大都市圏への小型店出店が目立つ。

 小型店の出店は業態を超えたブームになっている。たとえばダラーストア最大手のダラーゼネラル(Dollar General)は年内に800店舗、アルディ(Aldi)は28年度末までに同じく800店舗の出店を予定している。

 ダラーゼネラルが出店を急ぐのは、ウォルマートが入り込めない農村部の需要を刈り取るだけでなく、24年度中に600店舗と、さらに400店舗をリース契約終了のタイミングで閉鎖する競合のダラーツリー(Dollar Tree)のシェアを奪うためでもある。アルディは昨今のインフレ下で高所得層を含めた客層拡大に成功していることと、小型のハードディスカウンターという米国では競合が少ない業態であることから、一気に市場を制圧したい考えだ。

 SM各社も小型店の出店を加速するほか、百貨店のメイシーズ(Macy’s)は標準サイズの店舗は大幅に減らす一方で、24~25年度で小型フォーマットを30店舗出店する。

 このほか注目したいのが「農村ライフスタイル小売チェーン(Rural lifestyle retail stores)」を標榜する

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平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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