米雇用、9月は19.4万人増止まり 政府部門で減少 失業率4.8%に改善
[ワシントン 8日 ロイター] – 米労働省が8日発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増だった。9カ月ぶりの小幅な増加にとどまり、市場予想の50万人増を大きく下回った。政府部門の教育関連の減少が目立った。ただ、新型コロナの感染状況が小康状態となり、失業保険給付の特例が失効する中、雇用は今後数カ月で持ち直す可能性がある。
8月の雇用者数は当初の23万5000人増から36万6000人増へ上方改定された。9月の雇用者数の市場予想は25万人増から70万人増までの幅があった。
米就業者数は依然、コロナ禍前の2020年2月のピークを500万人下回っている。
9月の失業率は4.8%と、8月の5.2%から改善し、18カ月ぶりの低水準となった。職探しを断念する動きも低下の一因となっている。
コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークの最高投資責任者、ブラッド・マクミラン氏は「最大の問題は成長鈍化ではなく、人々がなお仕事に戻ることを恐れていることだ」と述べた。
就業者数は民間部門で31万7000人増加した。レジャー・接客関連は7万4000人増。レストランやバーは2万9000人増加した。専門職・企業サービスは6万人増、小売は5万6000人増、製造業は2万6000人増、建設は2万2000人増だった。
一方、教育関連の減少が響き、政府部門は12万3000人減となった。
労働省は、コロナ禍に絡む教育部門の就業者の変動が通常の季節的なパターンをゆがめ、雇用情勢の解釈を困難にしていると指摘した。
家計調査に基づく労働参加率は61.6%と、前月の61.7%から低下した。
モルガン・スタンレーのチーフ米国エコノミスト、エレン・ゼントナー氏は「労働力の供給が引き続き主要な制約となっており、近い将来に解消されない恐れがある」と指摘した。
同時に、賃金上昇や長期失業者の減少など、労働市場が逼迫しつつある兆候も垣間見られた。
時間当たり平均賃金の伸びは加速し、前月比0.6%増加した。
長期失業者数は49万6000人減の270万人となった。770万人の失業者全体に占める比率は34.5%と、前月の37.4%から縮小した。
また、人口に占める労働者の比率は58.7%と、前月の58.5%から上昇した。
雇用者数の増加が小幅にとどまったことで、経済成長が第3・四半期の急激な鈍化から、迅速に立ち上がるとの期待感は弱まった。労働市場や経済は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による労働者および原材料の不足により、制約を受けている。
9月の雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)が11月2─3日に開催する政策決定会合の前に発表される最後の雇用統計だ。FRBは先月、毎月行っている債券購入のテーパリング(量的緩和の縮小)を早ければ11月にも開始する可能性を示唆していた。
FRBのパウエル議長は、大規模な債券購入プログラムを縮小する基準を満たすには「それなりに良い雇用統計が必要だ」と述べていた。
シティグループのチーフ米国エコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は、9月雇用統計で示された就業者数の上方改定や失業率の改善、労働市場逼迫の兆候が「テーパリングの11月発表に向けた条件を十分に満たしたはずだ」と述べた。