[23日 ロイター] – 米スポーツ用品大手ナイキは23日、2022会計年度(21年6月からの1年間)の売上高見通しを引き下げた。年末商戦期に製品の輸送や生産に遅延が生じる見込みという。同社はサプライチェーン(供給網)の逼迫により、運賃上昇や製品が輸送中に滞留するといった問題に直面している。
ナイキのフットウェアの約半分を生産するベトナム工場が数カ月にわたり閉鎖され、すでに新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響を受けているサプライチェーンへの一段の重しとなっている。
通期売上高伸び率は1桁台半ばを見込む。従来予想は2桁台前半だった。同社株は引け後の時間外取引で3.3%下落した。
同社はまた、工場閉鎖により第2・四半期の売上高は「前年同期比で横ばいから1桁台前半の減少」になると予想した。
マシュー・フレンド最高財務責任者(CFO)は「ベトナムでは、ほぼ全てのフットウェア工場が政府の命令で閉鎖されたままとなっている。新型コロナに関連した工場閉鎖の経験からすると、再開してフル稼働に戻るまでには時間がかかる」と語った。
ベトナムではこれまでに10週間分の生産が失われており、完全な生産体制に戻るには数カ月を要する見通しという。
証券会社BTIGは今月、ナイキ株の投資判断を引き下げ、「ナイキにとって、大量のキャンセルが今年の年末から少なくとも来年春まで続くリスクが大幅に高まっている」とした。
フレンドCFOは「北米での輸送時間は前四半期に悪化し、現在はパンデミック前の約2倍かかっている」と述べ、ナイキは欧州、中東、アフリカでも同様の問題に直面していると説明した。
ナイキがこの日発表した第1・四半期(6─8月)決算は、売上高が市場予想を下回った。
売上高は122億5000万ドルと、前年同期の105億9000万ドルから増加したものの、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の124億6000万ドルを下回った。
純利益は23%増の18億7000万ドル(1株当たり1.16ドル)だった。