中国ミレニアル世代が牽引する2021年の消費最前線
~巨大ECセール[618] にみる売れ筋商品トレンド~
2021年中国の消費はコロナ前を上回る水準まで回復し、経済正常化が進んでいる。中国における消費やデジタル活用の”いま”について中国消費者のトレンドを連載で紹介。中国市場でブランド戦略立案等マーケティング支援を行うbalconia Shanghaiに現地における中国トレンドを解説してもらう。
618は、6月18日に向けて行われた、11月のダブルイレブン(W11,独身の日)に次ぐ中国で2番目に大きなECのセールである。JD.comを運営する京東商城の設立日6月18日が由来で、2010年から開始され年々売上げが増加している。ECトッププレーヤーであるアリババの天猫やタオバオ、JD.comの他にも、今年はショートビデオアプリの新たな勢力である抖音(中国版Tiktok)や快手も618商戦に大きく加わった。2021年JD.comは約3,438億元(約5兆8,446億円、1元=約17円)の総取引金額を報告しており、この数字は前年2,692億元の27.7%増で過去最高額を更新した。アリババは最終的な売上高を発表していないが、中国のデータ関連会社星图数据によるとすべての618キャンペーンの売上高を5,785億元(9兆8,345億円)と見積もっており、2020年から26.5%増加している。
2021年の618での注目トレンド① 「ペットケア製品」
2021年の618は家電製品、モバイル通信、アパレル部門を中心に様々なカテゴリーで売り上げが増加した。その中でも見逃せないのはペットケア製品、美容製品、アウトドアである。
天猫では「ペット/美容製品」の売上高は前年比109%増、JD.comでは「スマートペット製品」の売上高は前年比47%増となり、各プラットフォームでペットケア製品が堅調だった。この背景として中国では猫を飼う人が増加している。「中国ペット業界白書」2019年版によると、中国都市部のペット関連の市場規模は前年比18.5%増の2,024億元(約3兆4,408億円)に上り、10年で15倍になっている。
また、犬・猫の飼い主の74%が1980-90年代生まれの20-30代、男女比では女性が88%で構成されており、飼い主は20-30代女性が中心である。テクノロジーに精通した働き盛りで忙しい20-30代女性飼い主が増えた結果、自動ウォーターディスペンサーや自動トイレなどの猫用AI製品の売上が急増している。
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