米卸売物価、9月は前月比+0.4% 上昇に落ち着きも
[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日に発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇と、市場予想の0.2%上昇を上回った。宿泊費の値上がりが目立った。
8月は0.3%上昇していた。
9月の前年同月比は0.4%上昇と、3月以来初めてプラスに転じた。市場予想は0.2%上昇だった。8月は0.2%下落していた。
ただ、生産能力が過剰な状態にある中で全体的に物価上昇が落ち着いてきたという見方は変わっていない。一方で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるデフレ懸念は杞憂であることが確認された。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「一部の卸売物価は上昇しているが、工場はまだ正常化していない。米連邦準備理事会(FRB)当局者は、卸売物価の上昇圧力がさらに高まるまで物価見通しに慎重な姿勢を維持するだろう 」と述べた。
変動の大きい食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.4%上昇。8月まで2カ月連続で0.3%上昇していた。9月の前年同月比は0.7%上昇。8月は0.3%上昇した。
前日発表の9月のCPIは0.2%上昇だった。中古車・トラックが6.7%上昇し、全体のCPIの上昇要因の大半を占めた。新型コロナの感染拡大を抑えるための封鎖措置により供給網が混乱し一部のモノが値上がりした後、多くの企業は営業できるようになったが、失業者が多い中で値上げする余地が限られている。
物価上昇圧力が弱い中、FRBは当面、政策金利をゼロ付近に維持し大量の資金供給を続けるとみられる。米経済は2月に景気後退(リセッション)入りした。FRBの今の懸念事項は労働市場であり、柔軟な平均インフレ目標を掲げている。理論上、物価が目標の2%を長年下回った後、それを相殺するために一定期間、場合によっては数年間物価が目標を上回ることを容認する可能性がある。FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は8月に前年同月比1.6%上昇した。9月のコアPCE価格指数は今月下旬に発表される。
全米で新型コロナ感染が急増し景気回復が鈍化する兆しがみられる中、緩慢な物価傾向が続く可能性がある。現在、最低2550万人が失業保険手当てを受けている。
9月のPPIの内訳は、サービスが0.4%上昇。8月は0.5%上昇していた。9月は宿泊が3.9%上昇し、全体水準を押し上げた。
金物や建材・資材、輸送、入院費も値を上げた。食品は1.2%上昇。8月まで3カ月連続で下落していた。
一方、ガソリンは2.8%下落。
モノは0.4%上昇。8月は0.1%上昇した。9月は鉄・くず鉄が14.7%上昇し、全体水準を押し上げた。
食品・エネルギーを除くコア指数は0.4%上昇。8月は0.3%上昇した。