[ワシントン 22日 ロイター] – 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は20日の電話インタビューで、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴って、米国の失業率が今後30%と大恐慌時を上回るとともに、第2・四半期の国内総生産(GDP)が通常に比べて半減し、金額にして約2兆5000億ドルが消失してもおかしくないとの見通しを示した。
ただそうした経済の劇的な事態悪化も、普通の景気後退(リセッション)と受け止めるのではなく、新型コロナ封じ込めという「公衆衛生分野への大規模投資」が成功している証拠だとして前向きに考えるべきだと主張。同時に連邦政府が全力で国民を支える必要があると訴えた。
現在議会では1兆ドル規模の新型コロナ対策案の審議が進んでおり、多くの連邦準備理事会(FRB)当局者も財政出動を要請している。
しかしブラード氏はさらに踏み込み、政府は新型コロナに伴う経済的損失、つまり失われた賃金、失われたビジネスを逐一カバーする必要に議論の余地などないと明言した。
同氏は、エコノミストや政策担当者に求められるのは経済データに関する発想の転換で、例えば最新の失業保険申請急増は政府の新型コロナ感染抑制策が機能していることを意味すると指摘。むしろ失業保険申請が猛烈に活用される事態こそが望ましいと付け加えた。
また第2・四半期にGDPが半分になったとしても、それは企業が当局の命令を守って活動をやめ、消費者も自宅にとどまっているからで、まずは感染防止のために第2・四半期は経済活動を休止してほしいし、工場が生産を再開するのはその後だと強調した。
FRBは既に緊急利下げや潤沢な資金供給など矢継ぎ早に手を打っているが、同氏は、必要があれば金融政策の面でも追加措置を講じる用意があると表明した。