中国輸出1─2月は前年比17%減、新型ウイルスの影響 景気急減速へ
[北京 7日 ロイター] – 1─2月の中国の輸出は、新型コロナウイルスの感染拡大で産業活動が停止した影響で大きく落ち込んだ。第1・四半期の経済成長が1990年以来の低水準に減速するとの見方が強まっている。
新型ウイルスは、ちょうど春節(旧正月)の連休と重なる1月下旬に状況が深刻化し、企業や工場は連休後も休業を強いられた。当局は、連休などで統計がゆがめられるとして、貿易統計を1月と2月合わせた形で発表するとしていた。
中国税関総署が7日公表した1─2月の貿易統計によると、輸出は前年同期比17.2%減。ロイターがまとめたアナリスト予想(14%減)を上回る、2019年2月以来の大幅な減少となった。昨年12月は7.9%増だった。
輸入は前年比4%減で、予想(15%減)より小幅な減少にとどまった。昨年12月は、米中第1段階通商合意などで16.5%増加していた。
貿易収支は70億9000万ドルの赤字。アナリストの予想は246億ドルの黒字だった。
2月の製造業の景況感は新型ウイルスの影響で過去最低を記録した。
企業の活動は再開されているがまだ本格稼働とはいえず通常の状態に戻るのは4月以降との見方もでている。
1─2月の対米貿易黒字は、ロイターの算出で253億7000万ドル。前年同期の421億6000万ドルを大きく下回った。
1─2月の大豆の輸入は前年比14.2%増。米中第1段階合意に関連した米国産大豆が通関したことが背景。鉄鉱石の輸入は1.5%増。ウイルスで川下部門の操業がストップしたが、製鉄所の原材料需要に支えられた。
<影響はより深刻、より長期に>
中国発の供給と需要のショックは世界のサプライチェーンを通じて数カ月にわたり波及していくと予想される。また新型ウイルスはここにきて、中国国外で感染が拡大しており、世界経済が長期にわたって低迷したり、リセッション(景気後退)に陥ったりする可能性が懸念されている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)は4日公表した報告書で、中国の部品輸出が2月は前年比2%減少し、世界全体の輸出が500億ドル押し下げられたとの試算を示した。
新型ウイルスが発生した湖北省は自動車など製造業の集積地。 野村のアナリストは、3月1日時点で操業を再開している企業の割合が湖北省で44%にとどまり、中国全国では62.1%と推計。第1・四半期の前年比成長率は2%と、前年第4・四半期の6%から急減速すると予想している。
中国政府は経済的打撃を緩和するため、企業への支援策を数々打ち出している。
しかし、経済誌の財新は今週、地方政府が企業や工場の操業再開率をかさ上げするために、作る物もないのにただ機械を動かしている企業があると報じている。