アメリカ、牛乳離れの一方で植物由来ミルクが急拡大する事情と最新トレンド
植物由来ミルクのうち2/3を占めるのがアーモンドミルク
植物由来のミルクの中でも、アーモンド(市場占有率64パーセント)、ソイ(市場占有率13パーセント)、ココナッツ(市場占有率12パーセント)が依然として安定した人気だが、オートミルクは去年アメリカで大ヒットとなった。他にも店頭には、ライスミルク、ペカンミルク、ヘンプミルク、ココナッツミルク、カシューナッツミルク、キヌアミルクなど、新しい植物由来のミルクが多数並んでいる。大手自然食品のスーパーでは、牛乳よりも植物性ミルクのコーナーの方が大きく、植物性ミルクは牛乳の販売価格の約1.5~2倍で売られている。アメリカの市場調査会社NPDグループは、「消費者は、価格が高くても植物性ミルクを求めている」と指摘する。
植物由来のミルクの中でも、特にアーモンドミルクの売上は大きく、成長が著しい。市場調査会社ミンテルによると、アメリカのアーモンドミルクの販売額は、2018年で14.57億ドルに達し、2023年には18.75億ドルまで成長すると予測している。アーモンドミルクは、牛乳と比較して低カロリーで、悪玉コレステロールを減らし、血中のコレステロールを適切に保つ働きをしてくれるオレイン酸が豊富で、低糖質、ビタミンEとミネラル、食物繊維が多く含まれている。
環境に配慮したアーモンドミルクがホールフーズに登場
去年から一部のホールフーズマーケットで、皮ごとアーモンドを粉砕し、その場でアーモンドミルクを作ってくれるNuMilkという専用マシーンを設置し始めた。無糖アーモンドミルク (アーモンドとろ過水のみ)と、アーモンド、水、オーガニックメープルシロップを使ったオリジナルアーモンドミルクが選べる。保存料などは使用せず作られていて、皮ごとアーモンドを使うため、栄養価も高く、フレッシュだ。ボタンを押してから、出来上がりまでの時間は30秒以内で、各ボトル(32oz)の価格は、3.99ドルとなっている。また、ボトルはリサイクル可能な資材で作られている。
Numilkの創始者は、優れた原材料だけではなく、より持続可能な商品モデルを作りたいと考えていた。アメリカ農務省によると、毎年910億ドルの乳製品が廃棄処分されており、Numilk創始者の1人Tolwin氏は以前食品業界に務めていた際、食料廃棄量とサプライチェーンにおける資材を含めた廃棄物の多さに驚いたという。その場でアーモンドミルク を作るNumilkは、その無駄をなくし、食品および飲料のサプライチェーン全体の二酸化炭素排出量を削減することを可能にし、これまでの食品メーカーができなかった「環境に配慮した食品作り」を実現したという。現在は、アーモンドミルクのみだが、今後他の植物由来のミルクのオプションも検討しているという。また、Tolwin氏は「Numilkは去年、非常に売り上げが良く、今年はホールフーズマーケット以外の他のスーパーでも置く予定だ」と話してくれた。
一方で、農林水産省のデータによれば、日本では牛乳、乳製品の消費量は近年、ピーク時ほど多くはないものの、2014年から増加傾向にある。植物由来のミルク人気は、今後日本にも広がっていくのか。アメリカの酪農業界の動きと合わせて、注目したい。