見た目もおしゃれで、ビーガンにも最適!納豆とキムチがアメリカで人気が高まっている事情
前回の記事では、アメリカで発酵食品が流行っていることを取り上げ、特に発酵飲料に焦点をあてたが、今回は日本が誇る発酵食品の1つ納豆と、韓国の食卓に欠かすことができない代表的な発酵食品キムチのアメリカでの人気について、取り上げたい。
見た目もおしゃれな納豆がニューヨーカーを虜に?
ニューヨークのブルックリンにあるNYrtureの納豆は、独自の発酵方法で納豆を作り販売しているブランドだ。納豆は独特な匂いと、粘り気があるため、外国人には苦手な日本の食べ物としてとりあげられることが多いが、このNYrtureの納豆が去年から、特にニューヨークで流行りつつある。NYrtureは、NY在住の微生物学者、日系アメリカ人のアン・ヨネタニさんが設立した納豆の製造、販売会社だ。
フィラデルフィアで育ったヨネタニさんは、幼少期から日本に住む祖父母を訪ねていた時に食べた納豆が大好きだった。コロンビア大学やハーバード大学などの研究室で15年以上、微生物学の研究をしてきたヨネタニさんには、いつか科学と大好きな食をコラボレーションして、何かしたいという夢があった。「納豆は、プロバイオティックス発酵食品として、アメリカで新たな地位を確立する可能性が十分ある」と直感し、起業。
2014年に東京の神田にある老舗の納豆屋で、納豆の作り方を学んだが、習った方法をアメリカでそのまま実践するにはハードルが高かった。そこで、生物学のバックグラウンドを活かし、独自の発酵方法を研究。こうしてできたNYrtureの納豆は、ニューヨークでファンがあっという間に増えていった。人気の秘密は、美味しさだけではない。日本の納豆は1つずつ発泡スチロールの容器に入っているが、NYrtureの納豆は環境問題に配慮して、リサイクルできるガラス瓶で売られていて、見た目もおしゃれだ。アメリカのニューヨークやシアトル、ワシントンDCなどでは、現に発泡スチロール容器の使用を禁止する法律が施行されており、日本の納豆は受け入れ難い。また、パッケージには、Probiotic(体に良い細菌食品)、Vegan& Gluten Freeの文字が並ぶ。
NYrtureでは、日本の伝統的な納豆の食べ方だけではなく、いちご納豆サラダ、納豆フレンチオニオンスープなどオリジナルの創作納豆レシピをウェブサイトやインスタグラムなどにあげたり、納豆がもたらす健康上のメリットをイベント時やソーシャルメディアなどで伝え、納豆の人気を広げている。顧客のほとんどはアメリカ在住の非日本人で、ニューヨーク以外のアメリカの都市からも注文があるという。マンハッタンにある代表的な新現代美術館New Museumのカフェでも、このNYrtureの納豆を使った納豆チーズサンドイッチが販売されている。実際に著者もNYrtureのオリジナル納豆を食べてみたが、大豆の味、風味がしっかりしていて、タレは全くいらず、あとを引く美味しさだった。