ウェグマンズVS パブリックス、全米小売業界注目の「南北戦争」の勝者はどっちだ?
ニューヨーク州に本社を置くウェグマンズ(Wegmans)と、フロリダ州本拠のパブリックス(Publix)は、いずれも顧客ロイヤルティの高さで知られるリージョナルスーパーマーケット(SM)チェーンの代表格である。異なるエリアで店舗展開していた両社だったが、それぞれが店舗網を南下・北上させるなかで一部地域では“直接対決”が勃発し始めた。東海岸中部の白熱マーケットをレポートする。
南下するウェグマンズ
北上するパブリックス
ウェグマンズとパブリックスの直接競合は、米国小売業界でも注目されているトピックの1つである。その理由は、両社が顧客満足度・従業員満足度ともに評価が高く、業績も好調な優良リージョナルSMとしてよく並び称されるからだ。
たとえば、市場調査のマーケット・フォース・インフォメーションが2023年2月に発行した「米国グロサリー・ベンチマーク・スタディ」では、顧客ロイヤルティ指標(CLI)で、トレーダー・ジョーズ(TraderJoeʼs)、H-E-B、ウッドマンズ・マーケット(Woodmanʼs Markets)に次いで両社は同率4位につけている。
この調査は、米国内の46ブランドでの買物体験について6500人を超す消費者にアンケートしたもので、両社はともにCLIの上位常連企業である。
ウェグマンズはニューヨーク州ロチェスターに本社を置き、ペンシルバニア州など東海岸の北東部を中心に商勢圏を拡大していった企業だ。一方のパブリックスはフロリダ州レークランドを本拠とし、1991年のジョージア州を皮切りに東海岸南東部の州へ進出していった。
徐々に南下するウェグマンズと北上するパブリックスが、いずれかの地で相まみえるのは時間の問題だった。
そしてついに両社が対峙することになったのは、2017年7月のことだ。バージニア州リッチモンド郊外に店を構えていたウェグマンズの「ショートパンプ店」と同一商圏内に、パブリックスがバージニア州進出第1号店の「ナックルズ・プレイス店」をオープンしたのだ。くしくも、バージニア州はかつて南北戦争で北軍と南軍が激しくぶつかり合った決戦の地である。それから約160年の時を経て、有力リージョナルSM2社による“南北戦争”が始まった。
地元紙『リッチモンド・タイムス』にはパブリックス進出の前年、当時ウェグマンズのCEOだったダニー・ウェグマン氏のこんなコメントが載せられている。
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