アマゾン独禁法訴訟、一審は米首都の訴え棄却 今後はより厳しい法廷闘争に直面か

小久保 重信(ニューズフロント記者)
Pocket

米アマゾン(Amazon.com)を相手取り、米首都ワシントンの司法長官が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提起していた訴訟で、裁判所が原告側の訴えを棄却したと、米『ウォールストリート・ジャーナル』紙などの米メディアが2022年3月18日に報じた。 一審にあたる首都ワシントンの上級裁判所が、原告側の訴えを棄却するよう求めたアマゾン側の請求を認める判断を示したためだ。首都ワシントンのラシーン司法長官側は控訴する意向を示している。

月刊アマゾン

価格拘束の疑いでアマゾン提訴

 ラシーン司法長官は215月、アマゾンが業者に対して、自社サイト上では他社サイトよりも安く売るよう指示するなど価格を拘束したとして、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで同社を提訴した。訴状によると、アマゾンは193月に従来規定を撤廃し、新たに「公正価格規定」を設けた。だがラシーン司法長官は、他社サイトで安く売ることを禁じていた旧規定と事実上同じ内容だと批判している

 「公正価格規定」では、出品業者が価格を自由に決めることができる。だが、アマゾンは他社ECサイトをモニターし、商品価格をチェックしている。もし、他社サイトでより安価な商品が見つかれば、アマゾンはその業者の同じ商品をアマゾンのサイトで積極的に表示しない。ラシーン司法長官は、「この契約によって業者は他社サイトでより安価に販売できなくなる」と指摘している。

 たとえば出品業者が米ウォルマート(Walmart)のサイトでより安価に商品を販売したいと考えたとしても、業者はウォルマートに対し、アマゾンでの販売価格より高くするよう要求する。ウォルマートでの低価格表示がアマゾンに見つかり、アマゾンサイト上で露出が大幅に減らされることを懸念するからだという。

 アマゾンはこれに真っ向から反論している。「当社は安価な商品を提供していることに誇りを持っている。多くの小売業者と同様に、割高なものを目玉商品として扱うことはしないし、その権利を持つはずだ。当社の価格規定は、過剰な支払いから消費者を守ることが目的で、司法長官は全く逆の考え方をしている」と主張。「司法長官は、割高な商品を消費者に売り込むようわれわれに要求しており、反トラスト法の本来の目的と逆行する」とも批判している。

続きを読むには…

この記事は DCSオンライン会員(無料)、DCSオンライン+会員限定です。
会員登録後読むことができます。


DCSオンライン会員、DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態