好決算続出も企業間格差は拡大!上場小売2024年度決算、売上ランキングに変化の兆し!?
国内トップ2社の動きは
ランキング上位企業の動向を見ていくと、首位のセブン&アイの25年2月期の連結業績は、営業収益が同4.4%増の11兆9727億円、営業利益が同21.2%減の4209億円だった。営業収益全体の約76%を海外CVS事業が占める同社。25年2月期はこの海外CVS事業が大きく苦戦し、同事業の営業収益は同7.7%増の9兆1707億円、営業利益は同28.3%減の2162億円と増収・大幅減益となった。
国内CVS事業も、営業収益が同1.9%減の9041億円、営業利益が同6.8%減の2335億円と減収減益で着地。チェーン全店売上高は同0.5%増の5兆3697億円、既存店売上高は同0.2%増、全店平均日
販は前期から1000円増の69万2000円といずれも前期実績をわずかに上回ったが、原材料高騰やコスト上昇をカバーするには至らなかった。
食品スーパーや総合スーパーからなるスーパーストア(SST)事業は同3.1%減の1兆4321億円、営業利益は同23.3%減の104億円とこちらも減収減益。イトーヨーカ堂は営業収益が同3.4%増の8427億円、営業利益が30億円(前期は12億円の営業赤字)。ヨークベニマルは営業収益が同2.5%増の5037億円、営業利益は同10.1%減の168億円と増収・営業減益となっている
イオンの25年2月期の連結業績は、営業収益が同6.1%増の10兆1348億円、営業利益が同5.2%減の2377億円と増収・営業減益だった。上場している主要事業会社の業績を見ていくと、中核事業会社のイオンリテール(千葉県)をはじめ、ウエルシアHD、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都:以下、U.S.M.H)、フジ(広島県)、イオン北海道(北海道)が増収・営業減益。イオン九州(福岡県)、マックスバリュ東海(静岡県)、キャンドゥ(東京都)、コックス(東京都)が増収・営業増益だった。
なお、U.S.M.Hは24年11月にいなげや(東京都)を経営統合しており、いなげやはU.S.M.Hの事業会社として新たなスタートを切っている。U.S.M.Hの25年2月期業績は、いなげやの4カ月分の業績しか連結していない。これがフル加算される26年2月期の予想営業収益は9798億円と1兆円を射程圏内にとらえている。
どうなる2025年度決算
各社が公表している25年度の業績予想を見るかぎり、慎重な見通しを立てる企業も一部見られるものの、増収・増益を見込む企業が多数派であるようだ。ただ、世界情勢は混迷を極め、物価高が沈静化する気配は見えず、小売業にとっては厳しい状況が今後も続く。そうした中、先述したように業界内では再編機運がいっそう高まっており、この先も大型M&Aが続発しそうだ。
ただ、UBS証券の風早隆弘氏が本特集の中で「『規模が大きくなれば(収益性も)よくなる』という発想から転換すべきではないか」と指摘するように、企業買収が必ずしも業績向上に直結するわけではない。実際に、業界トップの規模はなくとも、好業績を維持している企業は多い。
本誌毎年恒例の「決算ランキング」特集では営業収益だけでなく、ROAやROE、総資産回転率、売上総利益率、在庫回転率、時価総額といった経営指標のほか、既存店売上高や期末店舗数といった小売経営において重要なデータを主要業態別にまとめている。
なぜ、あの企業の業績は優れているのか。「勝ち組」と「負け組」を分ける要素は何だったのか。各業態各社の業績指標から、そのヒントをつかんでいただきたい。
次項以降は有料会員「DCSオンライン+」限定記事となります。ご登録はこちらから!
決算2025ランキング の新着記事
-
2025/06/30
人気アナリストが小売7業態の決算を大総括! 業態・企業で明暗を分けたものとは? -
2025/06/30
時価総額&ROAランキング2025 ファストリ15兆突破、PPIHは3兆目前! -
2025/06/28
上位企業は軒並み増収! 大復活の外食企業決算分析2025 -
2025/06/28
アパレル、通販、専門店など12業態上場136社の2024年度業績を総まとめ! -
2025/06/27
家電量販決算2025 さらに加速する“脱家電”の動きで新たな成長段階に -
2025/06/27
百貨店決算ランキング2025 インバウンド&高額消費好調で増収増益目立つ
この特集の一覧はこちら [13記事]
イオン・グループ,セブン&アイの記事ランキング
- 2025-11-26ウエルシアHDの新フォーマット「ドラッグ&フード」 売場づくりの全貌を大解剖!
- 2025-12-02“コンビニ一本”で企業価値向上へ セブン&アイの新経営戦略の成否
- 2025-03-03ヨークベニマルがIY跡地に”渾身”の新旗艦店!「西ノ内店」の売場を速報!
- 2025-10-20セブン&アイ中間決算を分析! 苦戦続く国内外のコンビニ事業回復のカギは
- 2025-08-13「グリーンビーンズ」の会員が60万人突破! 2030年までに単年度黒字化へ
- 2020-11-25盤石!人口減少エリア主戦場なのに成長続けるヨークベニマルの強さの正体!
- 2025-11-04セブン&アイとイオン 国内2大流通グループの中間決算を徹底分析!
- 2019-04-22イオンと資本業務提携したフジが トップバリュと距離を置く理由
- 2019-08-03ついにベールを脱いだセブン&アイ新業態「コンフォートマーケット」を徹底レポート
- 2025-09-12セブン-イレブンが新CM開始 「嵐」メンバーも登場、そのねらいとは
関連キーワードの記事を探す
ウエルシアHDの新フォーマット「ドラッグ&フード」 売場づくりの全貌を大解剖!
東北随一の成長市場 宮城県名取・利府エリアの視察コースを案内!
食品スーパー市場占有率2025 大型再編続発で上位集中加速は必至の情勢
MAU率45%! 公式アプリ「iAEON」軸にイオンが描くCRM戦略の全貌





前の記事


