実質GDP、7―9月期年率プラス21.4% 消費持ち直しで伸び最大

ロイター
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都内にあるショーウインドー
2020年7―9月期の実質GDPは年率換算で21.4%増となり、統計上比較可能とされる1980年以降で最大のプラス成長だった。東京都で5月18日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 16日 ロイター] – 内閣府が16日発表した2020年7―9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)は年率換算で21.4%増となり、統計上比較可能とされる1980年以降で最大のプラス成長だった。家計の消費活動を示す民間最終消費支出(個人消費)が持ち直し、4四半期ぶりにプラスに転じた。実質GDPの年換算実額では507.6兆円まで戻したが、コロナ前の水準にどう回復させるかが焦点となる。

予想上回るプラス成長

物価変動を除く実質では前期比5.0%増となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞などで4―6月期までは3四半期連続のマイナス成長だったが、政府の緊急事態宣言が5月に解除され、旅行や外食などの消費が増えた。ロイターが民間調査機関を対象に実施した予測中央値(前期比プラス4.4%、年率プラス18.9%)を上回る結果となった。

実質GDPのうち内需が2.1%の押し上げ要因となった。外需の寄与度は2.9%のプラスだった。項目別では、個人消費が前期比4.7%増と4四半期ぶりにプラスとなった。経済活動の再開で自動車販売などの耐久材が伸びた。

一方、個人消費とともに内需の柱である民間企業設備投資は前期比3.4%減と、2四半期連続のマイナスだった。ドイツやフランスなどの欧州各国がふたたびロックダウン(都市封鎖)に踏みきり、先行きの不透明感を拭えない現状が浮き彫りとなった。住宅投資も前期比7.9%減と4四半期連続のマイナスだった。

社会保障の支払いなどの政府最終消費支出は、医療機関の診療者が増えたことやGoTo関連の政府支出を受けて前期比2.2%増となった。公共事業を柱とする公的固定資本形成も国土強靭化予算の執行で2四半期連続のプラスだった。

輸出は前期比7.0%増と3四半期ぶりのプラスに転じた。輸入は同9.8%減だった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期との比較でプラス1.1%となった。

コロナ前にはなお遠く

プラス成長に伴う実質GDPの実額は年率換算で507兆6157億円に回復した。20年4―6月期は483兆6417億円と、12年10―12月期以来7年半ぶりに500兆円を下回っていた。市場では「緊急事態宣言下の想定より回復が早い印象」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)との声が出ている。

もっともコロナ前に530兆円前後で推移していた水準には届いておらず、先行きは予断を許さない。

西村康稔経済再生担当相はGDP発表後の記者会見で「依然としてGDPギャップは相当程度存在し、経済はコロナ前の水準を下回った状態にある」とし、1)感染症の拡大防止、2)ポストコロナに向けた経済構造の転換、3)国土強靭化の推進――を柱とする新たな経済対策策定を急ぐ考えを示した。

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