米アップル、7─9月期はiPhoneさえず株価下落 新モデルの遅れ響く

ロイター
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10月29日、米アップルが発表した第4・四半期(7─9月)決算は、売上高と利益が市場予想を上回った。ただ、「iPhone」の売上高が市場予想を下回り、株価は5.9%急落した。写真は同社のロゴ。フランスのボルドーで2019年3月撮影(2020年 ロイター/Regis Duvignau)

[29日 ロイター] – 米アップルが29日発表した第4・四半期(7─9月)決算は、売上高と利益が市場予想を上回った。パソコン「Mac(マック)」やワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッド)」の販売が寄与した。ただ、「iPhone」の売上高が市場予想を下回り、株価は5.9%急落、株式時価総額1000億ドルが吹き飛んだ。

iPhoneの売上高は20.7%減少し、264億ドル。新モデルの発表が遅れたことなどから投資家はiPhoneの売上高が減少すると予想していたが、予想以上の落ち込みとなった。

アップルは次世代通信規格「5G」対応の新モデル「iPhone12」を通常よりも数週間遅れとなる10月13日に発表。同機種の売り上げは第4・四半期に含まれていない。

これらのモデルについては、携帯事業者が5Gデータプランの契約獲得に向け端末購入補助サービスを提供しており、好調な販売が見込まれている。

クック最高経営責任者(CEO)はロイターとのインタビューで、iPhone12について、最初の5日間の出荷データに基づき「楽観」していると述べた。

「5Gは10年に1度のような商機だ。少なくとも米国では、携帯事業者が非常に積極的だ」と語った。

ただ、iPhone12の発売時期はグレーターチャイナ(中華圏)での売上高を前年同期の111億3000万ドルから79億5000万ドルに押し下げた。クックCEOは、iPhone以外のアップル製品の中国での売上高は全て増加したとし、iPhoneの売り上げも再び上向く見込みだとした。

「最初の5日間のデータからは中国が第1・四半期(10─12月)にプラスの伸びを回復するという自信を与えるものだ」と述べた。

全体の売上高は647億ドル、1株利益は0.73ドルと、リフィニティブのIBESデータによるアナリスト予想の637億ドル、0.70ドルをそれぞれ上回った。

7─9月期に発売した一連の新製品やサービスが寄与した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で自宅で過ごす時間が増えている消費者からの需要が背景で、iPhone以外の製品部門やサービス部門は全て2桁の増収となった。

iPhone以外のハードウエア部門が全般的に増収となるのは2四半期連続。新型コロナのパンデミック前には一部の部門は売上高が減少していた。

iCloudやアップル・ミュージックなどを含むサービス部門の売上高は16.3%増の145億ドル。アナリスト予想は140億ドルだった。

クックCEOはロイターに対し、同社のプラットフォーム全体における有料契約者数は5億8500万人で、4─6月の5億5000万人から増加し、2020年末時点の同社の目標である6億人に近付いていると述べた。

アップルウオッチやエアポッドなどで構成するアクセサリー部門の売上高は20.8%増の79億ドル。アナリスト予想は13.5%増の74億ドルだった。MacとiPadの売上高はそれぞれ90億ドル、68億ドルに増加。アナリスト予想はそれぞれ79億2000万ドル、61億2000万ドルだった。

クックCEOは「Macはアップル史上最も好調な四半期となった」と述べた。

同社はまた、7─9月期に220億ドル近くを株主に還元した。

10─12月期、売上高増を予想

アップルは10─12月期の売上高見通しを示さなかった。ただ、マエストリ最高財務責任者(CFO)はサービス部門とiPhone以外の製品の売上高は10─12月期に2桁の伸び率となる見込みだとした。iPhoneの売上高についても伸びるとし、1桁の伸び率を示唆した。

リフィニティブのデータによると、アナリストは10─12月期のiPhoneの売上高が6.45%増の595億6000万ドルになると予想している。

新型コロナ感染者が再び急増する欧州ではフランスやドイツで新たなロックダウン(都市封鎖)措置が導入されており、10─12月期は不透明感が高まっている。

アナリストはこうしたロックダウンやそれによる経済への影響が年末商戦期のiPhone販売を抑制する可能性を懸念している。

クックCEOは、秋の製品発表イベントで、同時発表した過去最多の4機種はさまざまな顧客にアピールするもので「追い風」となる一方、販売期間が数週間少なくなることが「逆風」だと指摘。「新型コロナは未知数のようなものだ」と述べた。

エドワード・ジョーンズのアナリスト、ローガン・パーク氏は「iPhoneの販売は今のサイクルで拡大するだろうが、高い期待には応えられないだろう。5Gの導入で必ずしも買い替えの波が起きるとは考えてない」と述べた。

アップルの株価は、収入源の多様化などを背景に、過去2年間で急伸している。

ハーグリーブス・ランズダウンの株式アナリスト、ソフィー・ランドイエーツ氏は「アップルは、買い替えサイクルを維持できなければ、株価が下落するだろう。今の株価水準では弁解の余地はないからだ」と述べた。

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