「アフターコロナ」のレジ会計 、セルフ化は進むのか
買物途中のスキャンで、レジ待ち解消
解決策と思われるものは、すでに提示されています。米国のAmazon Goはその一例で、ローソンも画像認識技術を使ったレジレス店舗をオフィス内立地で実験しています。ただ、画像認識によるレジレス化をスーパーの売場規模や取扱商品数で導入するのは、まだ現実的とは言えません。電子タグを使う仕組みも同様です。
今のところ、バーコードをスキャンするのが最も現実的のようです。この業務をセルフサービス化できれば店のコストを下げられます。しかし、セルフレジに運んでからスキャンしていたのでは時間を要するので、レジ待ちは解消されません。解決策は、顧客が商品を選ぶ流れの中で、自らスキャンしてもらうことです。
トライアルHDが一部店舗に導入している「レジカート」は、カートに備え付けられた端末で商品をスキャン、事前登録したカード情報でレジに並ばずに決済が完了するというものです。4月15日時点で福岡・佐賀の19店で稼働中、4月24日にリニューアルオープンする千葉市稲毛区の長沼店にも今後、導入する予定です。
レジはスマホに置き換わる?
イオンは2月から貸出用のスマホ端末で行う「レジゴー」を開始しています。買物中に顧客が自らスキャン、決済は専用レジで済ませるというものです。どうせならレジレスにしてもよさそうですが、その代わり決済手段は現金・電子マネー・クレジットから選択可能になっています。3月末で4店に導入、今期中に20店で稼働させるほか、秋にはスマホアプリのリリースも予定しています。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、独自のスマホアプリ「スキャン&ゴー」を開発、カスミの無人店舗「オフィスマ」や茨城県内の2店舗で稼働中です。クレジットカードと紐付けし、レジに並ばずに決済が完了します。この仕組みをどれくらいの規模・ペースで広げるかは明確ではありませんが、今期スタートしたUSMHの新3ヵ年計画では、「チェックアウトシステムの変革」をテーマの1つに掲げています。
トライアル、イオン、USMHのセルフスキャンシステムは、顧客のレジ待ち解消&店のコスト削減を両立させる方法として現実的なアプローチです。買物中のスキャンは面倒なようですが、最後にまとめてやるセルフレジよりも心の負荷は少ないはずです。買物中に合計金額がいくらになったか確認できるのも、顧客には新たな利便性になると思います。
問題は、顧客が買物習慣を変えるハードルは高いということですが、新型コロナの経験を通じて世の中は変わるかもしれません。