[東京 13日 ロイター] – ファーストリテイリングの岡崎健CFO(最高財務責任者)は13日の決算会見で、素材高、物流コスト上昇、円安に見舞われているなか「商品によっては値上げをせざるを得ない局面になってきた」と述べた。下期(3―8月)にも実施する方針。
価格と価値のバランス見直し
岡崎CFOは「お客様の価格に対する要求は非常に厳しいとの認識を持っており、極力、値上げは避けたいというのが基本スタンス」と強調しながらも、秋冬以降、価値と価格のバランスを全て見直しており「品番ごとにお客様に受け入れてもらえる価格に見直しながら、かつ原価としても成り立つものを固めていく」とした。
値上げのタイミングについては「下期は極力抑制的にいきたいが、何品番かは値上げ、価格の見直しをせざるを得ない」と語った。
国内ユニクロは、2014―15年に一部商品を値上げ。その結果、客数減に見舞われ、再び値下げに踏み切った過去がある。岡崎CFOは「価格と価値のバランスが重要だ。極力上げないが、価値を受け入れてもらえるものは上げていくというスタンスで臨みたい」と説明した。
このところ円安基調にある為替相場については「円高でも円安でもなく、安定していることが事業をやるにはやりやすい」と述べ、「それぞれの国の通貨でしっかりと改善していくことが重要」とした。
収益の柱が多様化
2021年9―11月期(国際会計基準)の連結営業利益は前年同期比5.6%増の1194億円になり、会社計画を大きく上回った。国内ユニクロや中国事業などが減収減益となったものの、その他アジア・オセアニア、欧米が好調で「収益の柱は多様化した」(岡崎CFO)としている。海外ユニクロ事業は第1四半期として過去最高益となっている。
減収減益となった中国事業については、新型コロナによる行動規制が影響していると指摘。「ライフウエアとしてのニーズに揺らぎがあるとは思っていない」とし「2月までは厳しい状況が続くが、早期に立て直していきたいし、立て直すことができる」と述べた。
国内ユニクロ事業は、減収減益となったが、会社計画は上回った。9―12月の国内ユニクロ事業の既存店売上高は8.8%減。在宅需要が高かった前年の売り上げのハードルが高いことや、10月中旬まで気温が高い日が続き秋冬商品の販売に苦戦したことが要因。ただ、通期計画の11%減は上回って推移している。
22年8月期の連結営業利益予想は2700億円(前年比8.4%増)、純利益予想は1750億円(同3.0%増)の計画を据え置いた。新型コロナウイルスの感染がグローバルで拡大し「今後の状況を見通すことは難しいが、現時点では通期の業績予想は達成できる見込み」としている。
IBESがまとめたアナリスト11人のコンセンサス予想では、22年8月期の連結営業利益の平均値は2750億円だった。